令和5年(2023)10月24日から27日の4日間,帯広畜産大学原虫病研究センターPK-Hallにおいて,令和5(2023)年度研究拠点形成事業「アジア型住血吸虫症の排除に向けた南南・三角協力拠点の構築」のキックオフミーティングが開催されました。会議には,フィリピン,ラオス,カンボジア及びインドネシアから同事業参加国の代表ら11名,オブザーバー国となる韓国及びタイから事業関連の研究者ら6名,ならびに国内の同事業参加研究者ら17名の,合計34名が参加しました。会議はハイブリッド形式で開催され,WHO専門家やSATREPSなどの関連プロジェクトの関係者で,この企画に興味を持つ専門家や研究者らに広く公開されました。会議初日には,WHO東南アジア地域事務局の矢島 綾 顧みられない熱帯病(NTD)対策専門官にオンラインでご参加をいただき,アジア型住血吸虫症の排除に向けたWHOの戦略と対策の現状について概説していただきました。会議では,各国でのアジア型住血吸虫症の排除に向けた取り組みについて情報を交換するとともに,集団投薬(MDA)の効果を評価するための有病率のモニタリング手法(診断法)の不備など共通の問題点についても認識を共有することができました。また,韓国SD Biosensor社及び日本Hokudo(株)から担当者を招聘して,適性技術としてのアジア型住血吸虫症の診断法の共同開発の可能性についても議論しました。会議3日目には,韓国漢陽大学のSung Hye Kim准教授から,NTDsの排除に向けた対策でのネットワーキングの重要性について概説していただきました。会議3日目と4日目には,アジア型住血吸虫症の診断法の一つとして,ELISA法の技術移転を目的としたワークショップを開催しました。(会議の詳細については,添付のプログラムと議事録(Synthesis)を参照してください)
(文責: 河津 信一郎)