乳牛は妊娠期でも泌乳を続ける特殊な動物です。ヒトではお母さんの栄養が胎児に影響することが理解されています。一方、乳牛は妊娠していても栄養管理の主体は乳生産で、子牛や胎盤についてはほとんど考慮されていません。そこで、健康な子牛を得るための母牛の栄養管理について研究しています。
乳牛は妊娠期でも泌乳を続ける特殊な動物です。ヒトではお母さんの栄養が胎児に影響することが理解されています。一方、乳牛は妊娠していても栄養管理の主体は乳生産で、子牛や胎盤についてはほとんど考慮されていません。そこで、健康な子牛を得るための母牛の栄養管理について研究しています。
原虫病、とくにトリパノソーマ原虫を追って世界各地を調査してきました。得られた情報や原虫を使って、いまだにワクチンや安全な治療薬のないトリパノソーマ症をいかにして封じ込めるか、新たな診断法や治療薬、ワクチンが開発できないか、研究しています。
農家戸数や農業人口は減少傾向が続いています。一方で、1戸当たりの規模はどんどん大きくなっています。新しい技術を導入したり、経営内の組織を変更することで、どのような影響が生じるのかを分析しています。技術と経済性の両方からこうした課題に取り組み、今後の方向性を考えています。
雌牛に乳を出してもらうためには、妊娠と出産を安全に繰り返してもらう必要があります。そこで、効率良く妊娠が成立するための条件を知るために、出産してから次の妊娠までに起こる体の変化や異常について調べています。これらの研究成果を、ウシの子宮や卵巣の病気の診断や治療の方法や人工授精を効率よく行うための処置法などの改善に生かしていきます。
妊娠末期の牛は胎子の急成長でルーメン(第一胃)が圧迫されて採食量が落ち、胎子や乳腺へのエネルギー供給のために異化代謝に変化してしまいます。過度な場合は、生まれてくる子牛にも分娩後の母牛にも悪影響を及ぼします。そこで、迅速な対応ができよう血液性状などから異常をリアルタイムで判断できる方法を研究しています。
家畜動物に発熱や貧血などの消耗性疾患を引き起こす牛ピロプラズマ病は、世界で深刻な経済的被害をもたらしています。制圧するために私達は、分子疫学調査による実態把握、媒介者であるマダニの調査、汚染国に合わせたワクチンの開発などを行っています。また合わせて国際的共同研究ネットワークの構築にも積極的に取り組んでいます。
ニワトリの産卵数、卵サイズ、卵殻色などの遺伝形質を決めている遺伝子機構を制御し、安定的な養鶏経営に貢献したいと考えています。また、鶏卵の味に関わる遺伝と環境要因を研究し、おいしい卵の開発も目指しています。
ウシの子宮内に放たれた凍結精子、母体の自然免疫によって攻撃され、ほとんどが膣側に排出されます。この免疫システムは上皮細胞が病原体を認識して排除する方法と共通であることがわかってきました。私達はウシにも酪農家にも負担をかけないより高い受胎率を目指し、凍結精液技術と受精卵作出方法の開発を行っています。
ウマの生殖機能調節やホルモンの作用、診断法の開発に関する研究を行なうとともに、繁殖牝馬の生産管理上の諸問題について調査、研究に従事しています。地域に密着した馬産業への貢献を目指すとともに、馬を通じた教育・研究・社会貢献を推し進めることが今後の課題です。
飼育環境や飼料、母体の栄養状態は、子の発育や大人になった時の繁殖性に関係しています。これは後天的な要因によって、発現する遺伝子に差が生じるからで、この研究分野を“エピジェネティクス”と呼んでいます。私達は家畜とヒトに共通な遺伝子発現調節メカニズムに着目し、特に周産期の母親の環境と子供の発達の関係を解明を目指しています。
生殖工学とは体内で起こる複雑な受精現象を体外で人為的に制御する技術です。これにより、多くの動物種で体外受精卵の作出が可能になり、効率的に産仔を得られるようになりました。しかし、この技術には受精卵の染色体異常を誘発するリスクがあることがわかってきており、私達は作出する胚の遺伝的安全性の確保を目指した研究をしています。
卵子から排卵に至る卵巣機能などに副腎皮質ホルモンの影響は無いと長年思われ、未解明のままでした。しかし、私達はウシをモデルに卵子の形成、受精、胚発生において副腎皮質ホルモンが関与していることを明らかにしました。この研究から得られた知見を体外胚の生産に反映させ、家畜の生産性向上を目指しています。
日本ではホルスタイン種の雌牛の遺伝的改良により乳生産量が増え続けています。その遺伝的改良を担っているのは主に人工授精用の雄牛で、血縁関係やゲノム情報から遺伝的能力を数値化し、生産者との情報共有を進めています。現在は、乳牛の暑熱ストレス耐性の数値化、飼い方に応じた改良方法の開発など、日本の飼養環境に合わせた乳牛へと改良し、国内の酪農業の発展に繋げるための研究をしています。
家畜の病気を診察・治療した現場の長年の経験から言えるのは、農家さんが牛や馬にちゃんと手を掛けてあげれば、長生きし、生産性も上がり、結果的に恩返しをしてくれるということです。それを理解してもらうには獣医師と農家さんとの信頼関係が必要!現在は、牛の予防獣医療や子牛の健康と疾病、乳牛の蹄病などの研究を行っています。
脳内の情報処理メカニズムにはまだ多くの謎があり、その解明の鍵は神経細胞の情報伝達に関わる糖鎖だと考えられています。脳は領域ごとに役割が異なるため、各領域での糖鎖構造の役割を研究し、情報処理メカニズムの解明を目指しています。また、哺乳類や鳥類、爬虫類の嗅覚の多様性を研究し、動物の知覚と生態の関連性を追求しています。
野生動物、家畜、動物園や水族館の生き物など、死んだ動物を解剖して、細胞、器官、骨格などの機能的な働きを分析しています。特に繁殖に関する生殖腺と胎盤の発生を研究中。また、臨床解剖学的データの蓄積を行い、現場の獣医師や獣医師を目指す学生をバックアップするプロジェクトを始めています。生物は死してなお多くを語ってくれます。