帯広畜産大学構内には多くのエゾリスが生息しています。リスが自由に生活できるキャンパスの環境はすばらしいのですが、そうであるための理由がちゃんとあります。リスが生きていくための餌、巣、そして安全に移動できる経路が無ければ、リスはいなくなってしまいます。私たちは、動物のいる理由を調べて、動物がいなくならないようにそれを保つ研究をしています。
帯広畜産大学構内には多くのエゾリスが生息しています。リスが自由に生活できるキャンパスの環境はすばらしいのですが、そうであるための理由がちゃんとあります。リスが生きていくための餌、巣、そして安全に移動できる経路が無ければ、リスはいなくなってしまいます。私たちは、動物のいる理由を調べて、動物がいなくならないようにそれを保つ研究をしています。
世界人口の2~3割が症状がないため気づいていないトキソプラズマ原虫の感染は、妊婦の場合、流産や死産、胎児の感染による障害化などにつながる可能性があり、特に十分な注意が必要です。私達は宿主防御機構の解明や病原性発現機序の解明等の基礎研究を推進しています。また、人間の身近にいるペットに着目し、問題となる寄生虫の感染状況調査を行なっています。
家畜動物に発熱や貧血などの消耗性疾患を引き起こす牛ピロプラズマ病は、世界で深刻な経済的被害をもたらしています。制圧するために私達は、分子疫学調査による実態把握、媒介者であるマダニの調査、汚染国に合わせたワクチンの開発などを行っています。また合わせて国際的共同研究ネットワークの構築にも積極的に取り組んでいます。
人口減少に伴う土地の放棄や温暖化対策のためのエネルギー開発など新たな局面を迎える日本では、これまでと異なった土地利用戦略が求められています。私達は、人の生活の中で如何に自然環境を活用しつつ保全するのかを検討し、生物多様性に配慮した土地利用戦略や人の生業を活かした新たな保全戦略の研究開発を行っています。
自然生態系で虫が作物を食べることは自然なことです。人間の都合で化学農薬や遺伝子組み換え植物を導入してきましたが、環境に負荷を与えていることは否めません。そこで自然に存在する天敵微生物を用いて病害虫の被害を防ぐ生物的防除を研究し、病害虫を退治するのではなく病害虫と共生できるような農業生態系を目指しています。
河川水質を指標として、持続的農業と水環境の保全を両立可能な農林地流域の土地利用のあり方を考察します。また、国土の保全・防災に貢献する緑化の役割として、草本植物の根系を含む土層の力学的特性と斜面の保全について研究しています。こうした「水と土と緑の保全」をつなぐ次世代の人材育成(高大連携・環境教育等)にも積極的に携わっています。
植生・植物ごとにどのような立地に成立・生育するのか?を明らかにする学問を植生学と言います。私達の主な研究テーマは北海道東部の湿原植生の種組成と立地です。どんな植物種がどれくらいの量で出現するかを調査し、地表面の起伏などの立地とどのように対応しているのかを明らかにしています。
道路建設や宅地開発、農地拡大などによって森林に住む陸生哺乳類が、縮小・分断化されています。例えば道路によって個体群の交流が妨げられ、移動する際に車両と衝突するロードキルが発生しています。私達は動物の生息環境や移動能力などの基礎生態を調べるとともに、動物たちの保全と管理に効果的な対策の検討・効果検証を行なっています。
家畜やヒトに病気を媒介する蚊、アブ、マダニ等の吸血害虫の生態をはじめ、昆虫等の分類・生活史や、環境と昆虫相(環境の変化が昆虫群集にどのような影響を及ぼすのか)に関する研究を行っています。研究室には昆虫標本約20万点を収蔵しており、標本を活用した分類学・比較形態学の研究も行えます。
植物は自身に適した植物共生菌(カビ、きのこのなかま)が生息しないところでは、成長することができません。これらの共生菌は、新しい植物が定着する前から胞子などの形で土壌中で植物が来るのを待っており、根などに共生して無機養分を吸収して植物の成長を助けています。このような植物と菌類の共生関係を観察し、森や耕作地の土壌で起きている生態と環境変化の関係を明らかにします。
急速な気候変動や人の移動の増加は、害虫の増加や花粉媒介昆虫の減少を引き起こし、作物の生産量を減らしてしまいます。問題をとなる昆虫の個体数を適正に維持するには、農業生態系においてこうした昆虫が他の生物とどのように関係するのかを知る必要があります。私達は昆虫の生態の解明で、食糧生産や生物多様性維持といった世界的な課題の解決に取り組んでいます。
ヒトは森林資源の恩恵無しでは生きていくことが出来ません。そんな森林資源とそこに住む野生動物との関係を考えることは、私達に森林との共生の大きなヒントを与えてくれます。私達は北海道の天然林をフィールドにして、リスやモモンガといった樹上性リス科動物を観察しています。彼らが何を食べ、どんな巣作りをしているのか研究を続けています。
多くの人や家禽に致死的な病気を起こすH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスは渡り鳥によって感染が広がりますが、鳥自体には病原性を示すことはありません。家禽や哺乳動物に感染した場合に遺伝子変異が起こり、病原性変化につながるのです。このような仕組みを理解することで、感染症を制御し、パンデミックの発生を防ぐための研究をしています。
殺虫剤や抗生物質、環境汚染物質などが家畜に過度に曝露されることによる生産性の低下や、家畜に濃縮された化学物質が畜産食品を介して及ぼすヒトへの健康被害など、化学物質はヒトや動物の健康を脅かすことがあります。このような化学物質の有害性の評価や毒性が発現する仕組みを研究することで、獣医・畜産・環境分野に貢献したいと考えています。