グローバルアグロメディシン研究センター
南保 泰雄 教授/Professor Nambo Yasuo

国際的・社会的にリーダーとして働ける獣医師を育成するため、獣医学教育認証の1つである欧州認証の取得を目指す帯広畜産大学。馬の繁殖を専門とする南保教授らを中心に、全学をあげて国際認証取得に欠かせない馬の獣医学の充実を図っている。「研究成果を地域の産業の発展につなげることが大切」と語る南保教授は、”Think globally, act locally”が信条。馬を介した社会貢献にも取り組んでおり、室長を務める馬介在活動室は、平成30年度文部科学大臣表彰を受賞した。

原虫病研究センター
西川 義文 教授/Professor Nishikawa Yoshifumi

原虫病研究センターは日本の獣医・畜産系大学で唯一の原虫病研究拠点だ。ウィルスや細菌に比べ対策が遅れている原虫病からヒトや家畜を守るため、疫学調査から治療、予防までを見通した研究が行われている。ワクチン開発や創薬に向けた基礎研究に取り組む西川教授は、「原虫病が問題となる途上国での人材育成も重要」とし、海外での疫学調査を進める傍ら、外国人の研修生や大学院生を積極的に受け入れて技術指導している。

環境農学研究部門
加藤 清明 教授/Professor Kato Kiyoaki

帯広畜産大学の強みのひとつは、日本の農業生産を担うフィールドがすぐそばにあることだ。遺伝子解析に基づく作物の品種改良を研究する加藤教授は、「農家や農業試験場が抱える問題にマッチする研究課題に、様々な分野の専門家と共同で取り組むことができる」と胸を張る。そんな加藤教授の夢は、普段の食事を通して人々の健康を守ること。現在は食物アレルギーを予防あるいは症状を和らげる機能を持つイネの品種開発に挑んでいる。

生命・食料科学研究部門
木下 幹朗 教授/Professor Kinoshita Mikio

食の安全を守り、人々の健康向上への貢献を使命とする帯広畜産大学。木下教授が研究対象としているのは食品に含まれる脂質成分で、化粧品にも使われている。肌に良いなら腸でも効果があるかもしれないと研究を進めるうち、腸の炎症を抑える効果がわかってきた。研究成果に目を細めながらも「病気を治すことではなく、食品機能をひとつずつ解き明かしていくことが我々の役目」と農学研究者としての矜持をもって研究に取り組んでいる。

獣医学研究部門
小川 晴子 教授/Professor Ogawa Haruko

鳥インフルエンザは本来家禽の病気だが、ウィルスが変化して人に感染するようになった時、その拡大を防ぐことが世界的な課題となっている。獣医師でウィルス学が専門の小川教授も、その課題に挑む一人だ。「世界中の研究者が調査研究している中で、たとえ小さな発見でもウィルスの新しい性質を明らかにして共有することに意味がある」と話す小川教授は、道東地方に渡ってくる野鳥からウィルスのサンプルを集め、解析を進めている。