2025年10月3日(金),藤田秋一教授(鹿児島大学 共同獣医学部)によるセミナー講演「トキソプラズマ原虫および寄生胞膜におけるリン脂質の微細局在解析」を開催しました。
トキソプラズマ症は,トキソプラズマ原虫によって引き起こされる世界的に重要な人獣共通感染症です。本原虫は,さまざまな有核哺乳類細胞に能動的に侵入し,特徴的な寄生胞を形成します。寄生胞は,宿主の免疫機構からの回避や宿主細胞からの栄養獲得において中心的な役割を果たし,原虫の生存に必要な宿主の応答機能を巧みに調節しています。寄生胞膜および原虫の生体膜を構成するリン脂質の詳細な分布を解析し,その組成を解明することは,寄生胞の形成と機能制御の理解に不可欠です。藤田先生はこれまでに,急速凍結・凍結割断レプリカ標識(QF-FRL)法を開発し,哺乳類細胞における生体膜上のリン脂質の微細分布を明らかにしてきました。本研究では,この手法を用いてトキソプラズマ原虫,寄生胞膜,および感染宿主細胞におけるリン脂質の分布を詳細に解析した結果をお話ししていただきました。
(文責: 西川 義文)
