原虫病研究センターの加藤 健太郎特任准教授が,公益財団法人森永奉仕会より平成25年度の「森永奉仕会賞」を授与されました。
公益財団法人森永奉仕会は,乳幼児の健康と栄養に関する研究,調査及びこれに関連する乳製品等の品質改善に関する研究,調査に対し助成を行い,その成果をもって公衆衛生の向上に寄与することを目的としています。
加藤先生の受賞研究テーマは「小児の健康,公衆衛生上問題となる原虫感染症の酵素解析と薬剤開発」です。本研究成果は,日本学術振興会特別研究員として本学原虫病研究センターに所属する杉 達紀博士との共同研究によって得られました。
マラリアは世界3大感染症のひとつであり,熱帯,亜熱帯地方を中心として毎年数百万人もの小児が犠牲となっています。また,トキソプラズマは家畜や感染動物の肉を生食することでヒトに感染し,妊婦の初感染においては流産や胎児の脳症,痙攣,水頭症,頭蓋内石灰化等の症状を起こします。このような背景の中,加藤先生はマラリア原虫及びトキソプラズマ原虫のプロテインキナーゼ(PK)が原虫のライフサイクルを制御していることを明らかにし,原虫PKに対する効果的なリン酸化活性の測定系の確立に成功しました。また,トキソプラズマの予防薬,治療薬として,デキストラン硫酸の効果を発見し,特許出願を行いました。本研究成果には,原虫感染症の制圧というこの上なく大きな展開が期待されます。
加藤先生は,「今回の受賞に際し,これまでご指導いただいた先生方,ともに研究を行ってきた研究者,学生,同賞にご推薦いただいた日本獣医学会の関係者の皆様に感謝いたします。今後も小児の健康,公衆衛生上問題となる原虫感染症の制圧に向けて尽力していきたいと思います。」と受賞の喜びと今後の抱負を語りました。