9月6日(火)から8日(木)まで日本大学で開催された第159回日本獣医学会学術集会の日本獣医寄生虫分科会で,連合獣医学研究科獣医学専攻3年生の猪原 史成さんが,第7回日本獣医寄生虫学奨励賞を受賞しました。本奨励賞は獣医寄生虫学の進歩に寄与する優れた成果を挙げ,将来の発展が期待される若手研究者に授与されるものです。
受賞研究課題は「トキソプラズマ感染によるマウスの恐怖記憶固定の障害は大脳皮質及び扁桃核における機能異常が引き起こす」です。猪原さんが研究を行ったトキソプラズマは世界人口の30%が感染しているとされる寄生生物であり,脳や筋肉に潜伏感染を続けることが知られています。猪原さんはトキソプラズマ感染マウスにおいて恐怖記憶が障害されることに加え,その行動変化と関係する脳領域及び神経機能の異常を明らかにしました。この研究成果は,トキソプラズマ感染が引き起こす宿主動物の神経系障害メカニズムを理解し,有効な治療法や予防策の開発につながる有益な科学的知見となります。
猪原さんは,「この度の受賞をとても光栄に思っており,本研究の実施にあたり,ご指導いただいた先生方に深く感謝いたします。今後も寄生病原体の研究を通して,獣医畜産界に貢献することを目指し努力したいと思います。」と受賞の喜びを語りました。