令和7年(2025)10月21日から23日の3日間,フィリピン共和国マニラ(会場はフィリピン大学マニラ校医学部講堂)において,令和5(2023)年度研究拠点形成事業「アジア型住血吸虫症の排除に向けた南南・三角協力拠点の構築」の第三回国際会議を開催いたしました。
会議には,フィリピン,ラオス,カンボジア(オンライン参加)及びインドネシアから同事業参加国の代表ら15名,オブザーバー国となる韓国及びタイから事業関連の研究者ら3名,WHO SEARO(WHO東南アジア地域事務局)から2名,日本から6名,ならびにフィリピン農業省を含む国内外の同事業参加研究者ら11名の,合計37名が参加いたしました。また,会議の内容はオンライン配信され,フィリピン現地の関係者や,この企画に興味を持つ専門家や研究者らにも広く公開されました。会議では,各国でのアジア型住血吸虫症の排除に向けた取り組みについて情報を交換するとともに,集団投薬(MDA)の効果を評価するための有病率のモニタリング手法(診断法)の不備など共通の問題点について認識が共有されました。また,WHOの顧みられない熱帯病(NTD)対策専門官から,アジア型住血吸虫症の排除に向けたWHOの戦略と対策の現状について概説していただくとともに,ラオス及びケニアで住血吸虫症対策をテーマに展開中のSATREPSプロジェクトの代表研究者による関連情報の提供も行われました。
第三回国際会議では,昨年の第二回ヴィエンチャン会議で設立された「South-East Asia Schistosomiasis Elimination Surveillance Initiative (SEASEI)」の第一回集会として,この新規コンソーシアムでの2026年度の活動計画を策定するとともに,現在申請中の第二期JSPS Core-to-Core Programmeでの具体的な取り組みについても議論することができました。
会議三日目にはフィリピンカラバオセンター(PCC)を訪問して,フィリピンにおけるスイギュウ関連研究の実際を見学するとともに,住血吸虫症における保虫宿主対策の重要性と具体的な取り組みについて議論いたしました。
(文責: 河津 信一郎)

