乳用牛(ホルスタイン種)

私達が日ごろ口にしている食材の原料の半分以上が海外からの輸入に依存しています。その中で牛乳はそのほとんどすべてが国内で生産されています。牛乳が生鮮食品であるために輸送に時間をかけられないこと,重量が重いために空輸に不向きなことがその理由です。日本の牛乳のおよそ99%は黒白斑がトレードマークのホルスタイン種によって生産されています。ホルスタイン種はすべての牛の中でもっとも乳生産量が多い品種であり,1日に約30kgの牛乳を生産します。1頭当たりの生産量は1970代のおよそ1.5倍に増えています。乳量が増えた理由ひとつは飼養施設や与える飼料等環境的な改善,もうひとつは遺伝的改良です。遺伝的改良すべき形質は乳量だけでなく,バターを作るための乳脂量,チーズを作るための乳蛋白量,そして牛の健康も対象です。高い乳生産能力をもつホルスタイン種ですが,実は暑さが苦手です。近年,温暖化の影響で猛暑の年が多くなりました。そこで我々の研究室では,ホルスタインが夏バテしないよう,暑熱ストレスに強い乳牛へと改良する方法を開発するための研究に取り組んでいます。

この文を書いた人 萩谷 功一 准教授
所属 研究域/生命・食料科学研究部門/家畜生産科学分野/生命科学系
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