食物繊維

腸の機能に関連する代表的な機能性成分としては,非デンプン多糖類である食物繊維とオリゴ糖があり,デンプン性多糖類には難消化性マルトデキストリンと難消化性澱粉(resistant starch,RS)等がある。これらの物質を難消化性炭水化物(糖質)または機能性食物繊維と呼ぶ。食物繊維は,人体の消化酵素によって消化されない代表的な難消化性炭水化物であり,水に対する溶解度に応じて,水溶性と不溶性に分類されるが,前者はグアガム,難消化性マルトデキストリン,水溶性ペクチン,イヌリン及び一部のオリゴ糖等が含まれる。後者には,セルロース,ヘミセルロース,リグニン,不溶性ペクチン及びキトサン等がある。難消化性澱粉(RS)は,4つの形態が存在する。 RS1は,物理的に消化がされていないデンプンを言って,RS2は生澱粉や高アミロース澱粉(high-amylose starch,HAS)のようにゲル化がうまくいかない澱粉を指す。 RS3は,主に老化澱粉,及びRS4は,化学変性澱粉(food modified starch)をいう。このように難消化性炭水化物は,その種類と範囲が非常に広く,種類に応じて生理特性等に多少の違いがある。現在までに知られている難消化性炭水化物の腸内環境改善効果では,滞留時間の短縮と排泄量を増加させる排泄活動の改善効果,腸内有益菌が増えるプレバイオティクス効果等が知られている。最終発酵成分である短鎖脂肪酸が,これらの腸の健康増進に関連して重要な生理機能の要因として注目されている。難消化性炭水化物は腸の健康増進に加えて,血中コレステロールの減少,血糖値の調節,腸管免疫増強やダイエット効果等の様々な生理活性を持つ多機能性健康食品素材としても認められている

この文を書いた人 韓 圭鎬 准教授
所属 グローバルアグロメディシン研究センター/農畜産学研究部門研究域/生命・食料科学研究部門/食品科学分野/食品加工利用学系