良いにしろ、悪いにしろ、人間と何らかの関係を持っている野生動物

例えば、昔から取り組んでいる研究の一つに、動物の交通事故を減らすための「動物用道路横断構造物」を考え、その設置を提案する事、があります。動物用の横断構造物を考える時に気をつける事は、もちろん動物が安心して快適に使う事も重要ですが、道路を利用する人間にとっても安全である事、耐久性に優れる事、コストをなるべく低くおさえる事等いろいろです。また、動物の交通事故を減らす事はもちろんですが、その横断構造物を利用した動物が人間の生活や生産の場に現れ、害を及ぼす事になっては意味が有りません。それらの事を総合的に考え、判断して横断構造物の造成をアドヴァイスします。これまでに関わった動物用横断構造物は、カエル用のスロープ、モモンガ用の滑空用ポールと渡り棒、エゾリスのアニマルパスウェイ、コウモリ用カルバート、エゾシカ用オーバーブリッジと対象種も構造も様々で。私が造成に関わった横断構造物は、可能な限り造成後のモニタリング調査を行い、実際に動物が利用しているか?構造に問題は無いか?などの追跡調査をしています。写真は横断用のパイプカルバートを利用するヒグマです。

この文を書いた人 栁川 久 教授
所属 環境農学研究部門/環境生態学分野