犬猫も人と同様、先天性にも後天性にも心疾患があります。人との大きな違いの1つは、体重が少ないことです。特に国内では小型犬や猫が多く、人と比べて小さな心臓とわずかな血液量しかないため、人で可能な外科手術が応用できないことが少なくありません。私は外科と循環器を専門にしており、体重が少なくても適応できる低侵襲な治療法を確立したいと考えています。
犬猫も人と同様、先天性にも後天性にも心疾患があります。人との大きな違いの1つは、体重が少ないことです。特に国内では小型犬や猫が多く、人と比べて小さな心臓とわずかな血液量しかないため、人で可能な外科手術が応用できないことが少なくありません。私は外科と循環器を専門にしており、体重が少なくても適応できる低侵襲な治療法を確立したいと考えています。
ペットもがんになります。これを読む多くの人もペットががんになった経験が少なからずあるのではないでしょうか。私もこのがんを治したくて研究してきました。研究によって血液からがん細胞を見付けたり、そのがん細胞を攻撃することで治療が出来ると考えています。まだまだがんを治すまでの研究は出来ていませんが、がんに苦しむペットの手助けがしたいです。
犬猫の多様な腫瘍は三大治療である外科手術、放射線、抗がん剤だけでは根治に至る症例は少なく、人と比較すると犬猫での腫瘍マーカーは限られていることも現実です。私達は根治を目指した新しい治療法の研究と、早期発見と予後の経過観察をするための簡便な腫瘍マーカーの開発を通して、動物の健康と社会に貢献することを目標としています。
生きたままの組織や細胞を見る技術をライブイメージングと言います。この技術によってターゲットとなるタンパク質に印をつけることができ、感染の仕組みを詳細に観察できるようになりました。私達はバベシア症に感染した赤血球内や媒介者であるマダニ体内でのバベシア原虫の発育機構などをこのライブイメージングによって解明しようとしています。
私達は、マダニがどのようにして生存・発育し、吸血を行い、繁殖し、また、ヒトと動物に原虫などの様々な病原体を媒介するのか、それらの仕組みを解明するための基礎研究を進めています。新たなワクチンや殺ダニ剤の開発研究へと繋げることを目標に、マダニの「弱点」を一つでも多く発見し、畜産資源の確保、食糧の安定供給に大きく貢献したいと考えています。
バベシアという原虫は通常マダニを媒介して感染し、赤血球内に寄生し人や動物に貧血症を引き起こします。特に犬のバベシア症は重度な貧血症を発症し、死に至ることもあります。私達は病原原虫の全ゲノムを解読し、独自に確立したゲノムデータベースを足掛かりに、正確な診断法や有効な治療法、予防用ワクチン開発に関する研究を進めています。
犬糸状虫はフィラリアとよばれ、蚊にうつされる犬で最も需要な寄生虫です。予防薬と呼ばれる薬を一生投与しなければ感染を防ぐことはできません。しかし、予防薬は犬に無害とは言えず、より本質的な対策が必要です。そこで蚊がこの寄生虫をうつさなければと考え分子生物学・ゲノム編集技術などを駆使して「犬糸状虫をうつさない蚊」を作るべく研究を行っています。
動物の自然発生疾患であるアミロイドーシスとウシの神経変性疾患に注目し、発生するメカニズムを明らかにする研究をしています。2つの疾患の共通点は、ヒトを含めた様々な動物にも起こる疾患であり、病理診断ができても有効な治療法がまだありません。目指しているのは難治性疾患の病態解明と、診断・治療法の開発に有用な知見を見つけることです。
色素(メラニン)をつくる細胞のメラノサイトが癌化した悪性黒色種(メラノーマ)は犬猫の難治性疾患のひとつで、私達は完治させることを目標に新たな治療法を研究しています。また、早期発見のためにバイオマーカーの開発も検討しています。
血液を吸うマダニやノミといった吸血節足動物は、人間や動物を吸血する時に病原体を感染させてしまいます。そこで、吸血節足動物と感染してしまった犬猫の両方の病原体の関係を解明しています。さらに、私達の住む環境に病原体の種類や数を調査することで、感染リスクが明らかになり、犬猫や人の健康を守ることに貢献します。