農家戸数や農業人口は減少傾向が続いています。一方で、1戸当たりの規模はどんどん大きくなっています。新しい技術を導入したり、経営内の組織を変更することで、どのような影響が生じるのかを分析しています。技術と経済性の両方からこうした課題に取り組み、今後の方向性を考えています。
農家戸数や農業人口は減少傾向が続いています。一方で、1戸当たりの規模はどんどん大きくなっています。新しい技術を導入したり、経営内の組織を変更することで、どのような影響が生じるのかを分析しています。技術と経済性の両方からこうした課題に取り組み、今後の方向性を考えています。
十勝の広大な畑作地帯で働く大型のトラクタや作業機はパワフルで魅力的です。しかし、農家数の減少にともない増加する耕地面積を少ない人材で栽培するには、かしこく動く機械とそれを管理するシステムが不可欠です。最新のテクノロジーを駆使した先進的農業と環境保全を両立させる未来のスマートシステムを開発していきます。
帯広畜産大学構内には多くのエゾリスが生息しています。リスが自由に生活できるキャンパスの環境はすばらしいのですが、そうであるための理由がちゃんとあります。リスが生きていくための餌、巣、そして安全に移動できる経路が無ければ、リスはいなくなってしまいます。私たちは、動物のいる理由を調べて、動物がいなくならないようにそれを保つ研究をしています。
実はウシなどの反芻動物・草食動物は自身には草を消化する能力がありません。お腹の中に生息している膨大な数の微生物が食べた草を分解・発酵し、栄養素に変換しています。これらの微生物のバランスが崩れると代謝性疾患を起こし、消化や栄養の吸収が円滑に行えません。私達は動物の消化機能として微生物の最適なバランスを探求しています。
人口減少に伴う土地の放棄や温暖化対策のためのエネルギー開発など新たな局面を迎える日本では、これまでと異なった土地利用戦略が求められています。私達は、人の生活の中で如何に自然環境を活用しつつ保全するのかを検討し、生物多様性に配慮した土地利用戦略や人の生業を活かした新たな保全戦略の研究開発を行っています。
作物の生産を支える土壌を対象に、肥料を加えるばかりの「足し算」の方法から、土壌の潜在能力を引き出す「掛け算」の方法を研究しています。土壌の変化は周辺の水圏や大気圏などの生態系にも影響を及ぼします。人と自然が共生していくためには自然に対して負荷をできるだけ最小限に留め、かつ安全で高品質な食糧生産を持続する方法を見つけることが重要です。
家畜のふん尿や生ゴミは作物育成に有効な有機肥料になります。しかし、不適切に管理すると逆に環境汚染の要因となってしまいます。そこで、適切なふん尿資源化と持続可能な循環システムを開発し、技能や技術を根付かせることも視野に入れた「環境と人にやさしい酪農体系」を構築したいと考えています。
河川水質を指標として、持続的農業と水環境の保全を両立可能な農林地流域の土地利用のあり方を考察します。また、国土の保全・防災に貢献する緑化の役割として、草本植物の根系を含む土層の力学的特性と斜面の保全について研究しています。こうした「水と土と緑の保全」をつなぐ次世代の人材育成(高大連携・環境教育等)にも積極的に携わっています。
北海道でトラクタが導入されて約60年が経過し、農業機械の発達によって十勝の農業は我が国をリードする最先端の大規模農業に発展してきました。しかし、急速な少子高齢化による労働力不足は深刻で、大規模農業を維持、発展させるには無人トラクターのようなロボット技術を導入していくが一つの解決策だと考えています。
日々の食べ物が私達の口に入るまでにどのような環境負荷をかけているでしょうか。例えば、生産段階での動物の排泄物、加工段階での廃棄物、輸送や貯蔵に使うエネルギーなどがあげられます。また動物へのストレスの負荷、美しい農村景観の維持など、SDGsの解決に農畜産業は貢献できることがあり、私達は意識と経営の両面からこの課題に取り組んでいます。
農業経営は天候や災害、作物や家畜の病気といった自然環境のリスク、政策変更や価格変動、経営者の健康リスクなど様々なリスクに対処する“リスクマネージメント”の必要があります。私達は今の畜産業の経営に合った共済制度や保険制度の見直しを海外の事例などと比較しながら研究しています。
道路建設や宅地開発、農地拡大などによって森林に住む陸生哺乳類が、縮小・分断化されています。例えば道路によって個体群の交流が妨げられ、移動する際に車両と衝突するロードキルが発生しています。私達は動物の生息環境や移動能力などの基礎生態を調べるとともに、動物たちの保全と管理に効果的な対策の検討・効果検証を行なっています。
植物は自身に適した植物共生菌(カビ、きのこのなかま)が生息しないところでは、成長することができません。これらの共生菌は、新しい植物が定着する前から胞子などの形で土壌中で植物が来るのを待っており、根などに共生して無機養分を吸収して植物の成長を助けています。このような植物と菌類の共生関係を観察し、森や耕作地の土壌で起きている生態と環境変化の関係を明らかにします。
急速な気候変動や人の移動の増加は、害虫の増加や花粉媒介昆虫の減少を引き起こし、作物の生産量を減らしてしまいます。問題をとなる昆虫の個体数を適正に維持するには、農業生態系においてこうした昆虫が他の生物とどのように関係するのかを知る必要があります。私達は昆虫の生態の解明で、食糧生産や生物多様性維持といった世界的な課題の解決に取り組んでいます。
反芻家畜は微生物の力を借りて草を消化する際、メタンガスを生成しゲップとして大気中に放出します。食べたエサの10%程のエネルギーがこのメタンとして、牛乳や肉生産に使われないまま失われます。またメタンガスは二酸化炭素の25倍地球温暖化に及ぼす影響は大きいです。エサを工夫してゲップのメタンを減らし、エネルギー損失や地球温暖化を防ぐことを目指します。
殺虫剤や抗生物質、環境汚染物質などが家畜に過度に曝露されることによる生産性の低下や、家畜に濃縮された化学物質が畜産食品を介して及ぼすヒトへの健康被害など、化学物質はヒトや動物の健康を脅かすことがあります。このような化学物質の有害性の評価や毒性が発現する仕組みを研究することで、獣医・畜産・環境分野に貢献したいと考えています。