種子はコメ、コムギなど主要な穀物であるだけでなく、その他の作物を育てる場合の出発材料でもあります。種子の眠りと目覚めを様々な条件下で生理・分子レベルで解析し、そのしくみを適切に制御することによって気候変動でうまく発芽できない種子を助けられないか、また先端のバイオテクノロジーを使って種子の目覚めをコントロールできないかを研究中です。
種子はコメ、コムギなど主要な穀物であるだけでなく、その他の作物を育てる場合の出発材料でもあります。種子の眠りと目覚めを様々な条件下で生理・分子レベルで解析し、そのしくみを適切に制御することによって気候変動でうまく発芽できない種子を助けられないか、また先端のバイオテクノロジーを使って種子の目覚めをコントロールできないかを研究中です。
食料の安定供給・食の安全確保・感染症の制御は、21世紀に解決すべき重要課題です。動物の感染症を制御できれば、動物の健康確保を通して動物由来食品の安定供給につながります。また、病原体の多くは動物から人へ感染します。動物の段階でそれら感染症を制御できれば、動物から人への直接感染のみならず、動物由来食品を介した感染も防ぐことができるのです。
「いもち病おたく」と自他共に認める病原菌好きです。ある種の病原体に効く抵抗性品種を作ったとしても、変異していくことでその抵抗性品種が効かなくなることがあります。まさにイタチごっこです。そこで、病原体の変異そのものの法則を知ることで根本的かつ迅速な対抗手段を見つけようとしています。
日本ではアズキはダイズに次ぐ2番目に重要な豆類で、その約60%は十勝地域で生産されています。私達はアズキの安定生産に必要な種々の農業形質について遺伝解析を実施しています。また、収穫ロスの軽減した機械化栽培体系の確立を目指した草型改良に関する研究や早生アズキ品種開発のための開花関連遺伝子の探索と選抜マーカーの開発も行っています。
ニワトリの産卵数、卵サイズ、卵殻色などの遺伝形質を決めている遺伝子機構を制御し、安定的な養鶏経営に貢献したいと考えています。また、鶏卵の味に関わる遺伝と環境要因を研究し、おいしい卵の開発も目指しています。
バレイショの野生種には病気や害虫に強い性質を持った種や、色や形や味などとても変わったものが多く存在しています。しかし、その価値を品種改良になかなか活かせていません。そこで、野生種の持つ有用な形質を栽培種へ導入する研究をしています。また、収量やデンプン含量と関連がある遺伝領域を探し、遺伝子のレベルから農業形質の向上を目指しています。
「スペルトコムギ」という小麦の古い在来品種は、不良環境への適応能力など近代の小麦にはない優れた特性を持っていることが分かってきました。また、パンにしたときの独特の味や香り、高い栄養価から現在再び栽培が広がっています。私たちは、「スペルトコムギ」の遺伝資源としての価値を再評価し、大学発の新たなパン用コムギ品種の開発にチャレンジしています。
十勝地方では、古くからコムギ、甜菜、豆類、馬鈴薯の4つの作物を基幹とした安定的な輪作が行われていました。一方で、これらの作物に加えて新たな作物を栽培したいと考える農家も少なくありません。私達の研究は、世界中に存在する作物の中から、利用価値が高く、経済的な利益をもたらしそうな品種を見つけ出し、十勝への導入を試みようというものです。
北海道は私達が日常食している主な作物の栽培北限でありながら、日本の食糧基地でもあります。この栽培限界地域での安定的な作物生産は日本の死活問題です。私達は、寒冷地に適した品種改良に必要な遺伝子探索を行い、環境や天候に強く、効率的に育つ作物開発の研究をしています。また、アレルギー疾患の人も食べられる作物のアレルギー低減化も目指しています。
日本で食べられているパンのほとんどは外国産小麦で作られいて、パンに合う国産小麦はなかなか生産されませんでした。しかし、ここ数年で次々と高品質な国産小麦が作られるようになり、遂に100%国産小麦のおいしいパンが市場に出るようになりました。私達は国産小麦の品質特性や加工方法などを研究し、国産小麦のおいしいパンを応援しています。
北海道十勝地方はナガイモの産地として知られ、品質の良さから海外へも輸出されています。ナガイモは、古くから漢方薬として胃腸虚弱等の効用があると伝承されています。私たちもナガイモの消化器官に対する機能性について興味を持ち、大腸ポリープの発症抑制効果を見つけ、ナガイモ特有の食品機能性を見出そうと研究しています。
日本ではホルスタイン種の雌牛の遺伝的改良により乳生産量が増え続けています。その遺伝的改良を担っているのは主に人工授精用の雄牛で、血縁関係やゲノム情報から遺伝的能力を数値化し、生産者との情報共有を進めています。現在は、乳牛の暑熱ストレス耐性の数値化、飼い方に応じた改良方法の開発など、日本の飼養環境に合わせた乳牛へと改良し、国内の酪農業の発展に繋げるための研究をしています。