農林水産物の生産環境には有害化学物質や有害微生物といった危害要因(ハザード)が存在し、汚染リスクをゼロにすることは困難です。特に有害微生物は、温度や栄養などの条件が整えば、検出できない少ない数から短時間で病気を起こす数まで増えます。このため、科学データに基づいて農場から食卓までのすべての段階で汚染リスクを減らす取組を行う必要があります。
農林水産物の生産環境には有害化学物質や有害微生物といった危害要因(ハザード)が存在し、汚染リスクをゼロにすることは困難です。特に有害微生物は、温度や栄養などの条件が整えば、検出できない少ない数から短時間で病気を起こす数まで増えます。このため、科学データに基づいて農場から食卓までのすべての段階で汚染リスクを減らす取組を行う必要があります。
生活習慣病の予防・改善を目的に、脂肪組織の代謝やホルモン分泌等を調節するメカニズムを研究しています。これまで、肝臓からの情報が神経を通じて脂肪組織の代謝を調節することを示唆する結果が得られています。さらに、フラボノイドなどの食品成分の生理作用の発現などにも、この神経経路が関係していそうです。このつながり、意外と奥が深いかも。
食品を食べた時に体の中では様々な遺伝子の発現変化が起こります。これを調べることにより、健康増進に役立つ機能や成分を探索する研究をしています。また、食品を食べたときの腸内細菌叢の変化をとらえ、体に良い菌を増やし悪い菌を減らす食品や成分を探索する研究も行っています。これらをDNAチップや次世代シークエンサーといった技術を使って研究しています。
北海道十勝の農産物であるアズキ、キントキ、テボウなど豆類は脂質代謝改善効果や強い抗酸化効果などがあり、機能性食品としての開発が期待できます。また、チコリ、キノコ、サトウキビなどは腸管内発酵と生活習慣病の予防に関係すると考えられています。このように、自然界に存在する農畜産物が身体に及ぼす効果を見いだす栄養生化学的な研究を行っています。
北海道は私達が日常食している主な作物の栽培北限でありながら、日本の食糧基地でもあります。この栽培限界地域での安定的な作物生産は日本の死活問題です。私達は、寒冷地に適した品種改良に必要な遺伝子探索を行い、環境や天候に強く、効率的に育つ作物開発の研究をしています。また、アレルギー疾患の人も食べられる作物のアレルギー低減化も目指しています。
北海道十勝地方はナガイモの産地として知られ、品質の良さから海外へも輸出されています。ナガイモは、古くから漢方薬として胃腸虚弱等の効用があると伝承されています。私たちもナガイモの消化器官に対する機能性について興味を持ち、大腸ポリープの発症抑制効果を見つけ、ナガイモ特有の食品機能性を見出そうと研究しています。
ソーセージやハム、ミートパティ等の食肉製品の品質は、味や色調、保存性、脂質の酸化など様々な要素によってコントロールされています。私たちはこれまでヒトの健康維持に良いと考えられてきた健康機能性成分を食肉製品の品質向上にも活用できないかと考え、生活習慣病予防に役立つかつ安全で高品質な食肉製品の開発を目指しています。
ヨーグルトやチーズなどの発酵食品の発酵過程で利用される乳酸菌は、漬物、みそ、しょうゆ、お酒などに使われている乳酸菌と同様に、人々の身近なところに生息しています。私達は安全でおいしい食品の製造につながるような新しい乳酸菌の株を地元で探索し、地域の特色ある加工食品を創出したいと考えています。
脂質の中でも動植物共通に存在するスフィンゴ脂質に着目し、食品の機能性や身体との関係を探っています。化粧品にも使われていて、「肌に良いなら皮膚と深い関係にある腸でも効果があるかもしれない」と研究を進めるうち、腸の炎症を抑える効果がわかってきました。
飼育環境や飼料、母体の栄養状態は、子の発育や大人になった時の繁殖性に関係しています。これは後天的な要因によって、発現する遺伝子に差が生じるからで、この研究分野を“エピジェネティクス”と呼んでいます。私達は家畜とヒトに共通な遺伝子発現調節メカニズムに着目し、特に周産期の母親の環境と子供の発達の関係を解明を目指しています。
赤ちゃんは離乳期を経て、摂食や睡眠などの生命活動における概日リズムを獲得し自らの意思で母乳以外の食事がとれるように脳の生理機能が発達します。一方で、パーキンソン病やアルツハイマー病に代表される脳の変性疾患や慢性ストレスによる鬱病を発症すると、できていたことができなくなる現象がおこります。同じ脳の中で発達したり病気を発症したりする機構の解明と治療について研究しています。基礎研究で病気の治療に貢献することを目標にしています。