原虫病、とくにトリパノソーマ原虫を追って世界各地を調査してきました。得られた情報や原虫を使って、いまだにワクチンや安全な治療薬のないトリパノソーマ症をいかにして封じ込めるか、新たな診断法や治療薬、ワクチンが開発できないか、研究しています。
原虫病、とくにトリパノソーマ原虫を追って世界各地を調査してきました。得られた情報や原虫を使って、いまだにワクチンや安全な治療薬のないトリパノソーマ症をいかにして封じ込めるか、新たな診断法や治療薬、ワクチンが開発できないか、研究しています。
帯広畜産大学構内には多くのエゾリスが生息しています。リスが自由に生活できるキャンパスの環境はすばらしいのですが、そうであるための理由がちゃんとあります。リスが生きていくための餌、巣、そして安全に移動できる経路が無ければ、リスはいなくなってしまいます。私たちは、動物のいる理由を調べて、動物がいなくならないようにそれを保つ研究をしています。
家畜動物に発熱や貧血などの消耗性疾患を引き起こす牛ピロプラズマ病は、世界で深刻な経済的被害をもたらしています。制圧するために私達は、分子疫学調査による実態把握、媒介者であるマダニの調査、汚染国に合わせたワクチンの開発などを行っています。また合わせて国際的共同研究ネットワークの構築にも積極的に取り組んでいます。
犬糸状虫はフィラリアとよばれ、蚊にうつされる犬で最も需要な寄生虫です。予防薬と呼ばれる薬を一生投与しなければ感染を防ぐことはできません。しかし、予防薬は犬に無害とは言えず、より本質的な対策が必要です。そこで蚊がこの寄生虫をうつさなければと考え分子生物学・ゲノム編集技術などを駆使して「犬糸状虫をうつさない蚊」を作るべく研究を行っています。
実はウシなどの反芻動物・草食動物は自身には草を消化する能力がありません。お腹の中に生息している膨大な数の微生物が食べた草を分解・発酵し、栄養素に変換しています。これらの微生物のバランスが崩れると代謝性疾患を起こし、消化や栄養の吸収が円滑に行えません。私達は動物の消化機能として微生物の最適なバランスを探求しています。
人口減少に伴う土地の放棄や温暖化対策のためのエネルギー開発など新たな局面を迎える日本では、これまでと異なった土地利用戦略が求められています。私達は、人の生活の中で如何に自然環境を活用しつつ保全するのかを検討し、生物多様性に配慮した土地利用戦略や人の生業を活かした新たな保全戦略の研究開発を行っています。
道路建設や宅地開発、農地拡大などによって森林に住む陸生哺乳類が、縮小・分断化されています。例えば道路によって個体群の交流が妨げられ、移動する際に車両と衝突するロードキルが発生しています。私達は動物の生息環境や移動能力などの基礎生態を調べるとともに、動物たちの保全と管理に効果的な対策の検討・効果検証を行なっています。
ヒトは森林資源の恩恵無しでは生きていくことが出来ません。そんな森林資源とそこに住む野生動物との関係を考えることは、私達に森林との共生の大きなヒントを与えてくれます。私達は北海道の天然林をフィールドにして、リスやモモンガといった樹上性リス科動物を観察しています。彼らが何を食べ、どんな巣作りをしているのか研究を続けています。
多くの人や家禽に致死的な病気を起こすH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスは渡り鳥によって感染が広がりますが、鳥自体には病原性を示すことはありません。家禽や哺乳動物に感染した場合に遺伝子変異が起こり、病原性変化につながるのです。このような仕組みを理解することで、感染症を制御し、パンデミックの発生を防ぐための研究をしています。
環境中には、植物毒、天然由来ダイオキシン類などの自然由来の化学物質や、環境汚染物質、医薬品など人工的に合成された化学物質などが多数存在しています。これらの化学物質に対する反応の現れ方は動物種ごとに異なります。その種差が生まれた進化的・遺伝的背景を明らかにすることで、動物への医薬品投与や環境汚染物質の影響を予測することを目的に研究しています。
殺虫剤や抗生物質、環境汚染物質などが家畜に過度に曝露されることによる生産性の低下や、家畜に濃縮された化学物質が畜産食品を介して及ぼすヒトへの健康被害など、化学物質はヒトや動物の健康を脅かすことがあります。このような化学物質の有害性の評価や毒性が発現する仕組みを研究することで、獣医・畜産・環境分野に貢献したいと考えています。
脳内の情報処理メカニズムにはまだ多くの謎があり、その解明の鍵は神経細胞の情報伝達に関わる糖鎖だと考えられています。脳は領域ごとに役割が異なるため、各領域での糖鎖構造の役割を研究し、情報処理メカニズムの解明を目指しています。また、哺乳類や鳥類、爬虫類の嗅覚の多様性を研究し、動物の知覚と生態の関連性を追求しています。
野生動物、家畜、動物園や水族館の生き物など、死んだ動物を解剖して、細胞、器官、骨格などの機能的な働きを分析しています。特に繁殖に関する生殖腺と胎盤の発生を研究中。また、臨床解剖学的データの蓄積を行い、現場の獣医師や獣医師を目指す学生をバックアップするプロジェクトを始めています。生物は死してなお多くを語ってくれます。