帯広畜産大学構内には多くのエゾリスが生息しています。リスが自由に生活できるキャンパスの環境はすばらしいのですが、そうであるための理由がちゃんとあります。リスが生きていくための餌、巣、そして安全に移動できる経路が無ければ、リスはいなくなってしまいます。私たちは、動物のいる理由を調べて、動物がいなくならないようにそれを保つ研究をしています。
帯広畜産大学構内には多くのエゾリスが生息しています。リスが自由に生活できるキャンパスの環境はすばらしいのですが、そうであるための理由がちゃんとあります。リスが生きていくための餌、巣、そして安全に移動できる経路が無ければ、リスはいなくなってしまいます。私たちは、動物のいる理由を調べて、動物がいなくならないようにそれを保つ研究をしています。
家畜動物に発熱や貧血などの消耗性疾患を引き起こす牛ピロプラズマ病は、世界で深刻な経済的被害をもたらしています。制圧するために私達は、分子疫学調査による実態把握、媒介者であるマダニの調査、汚染国に合わせたワクチンの開発などを行っています。また合わせて国際的共同研究ネットワークの構築にも積極的に取り組んでいます。
実はウシなどの反芻動物・草食動物は自身には草を消化する能力がありません。お腹の中に生息している膨大な数の微生物が食べた草を分解・発酵し、栄養素に変換しています。これらの微生物のバランスが崩れると代謝性疾患を起こし、消化や栄養の吸収が円滑に行えません。私達は動物の消化機能として微生物の最適なバランスを探求しています。
ウマの生殖機能調節やホルモンの作用、診断法の開発に関する研究を行なうとともに、繁殖牝馬の生産管理上の諸問題について調査、研究に従事しています。地域に密着した馬産業への貢献を目指すとともに、馬を通じた教育・研究・社会貢献を推し進めることが今後の課題です。
日々の食べ物が私達の口に入るまでにどのような環境負荷をかけているでしょうか。例えば、生産段階での動物の排泄物、加工段階での廃棄物、輸送や貯蔵に使うエネルギーなどがあげられます。また動物へのストレスの負荷、美しい農村景観の維持など、SDGsの解決に農畜産業は貢献できることがあり、私達は意識と経営の両面からこの課題に取り組んでいます。
道路建設や宅地開発、農地拡大などによって森林に住む陸生哺乳類が、縮小・分断化されています。例えば道路によって個体群の交流が妨げられ、移動する際に車両と衝突するロードキルが発生しています。私達は動物の生息環境や移動能力などの基礎生態を調べるとともに、動物たちの保全と管理に効果的な対策の検討・効果検証を行なっています。
できる限り快適な環境で飼育することでストレスや疾病を減らし、家畜の暮らしをよくすることをアニマルウェルフェアと言い、取り組む生産者が増えてきています。従来のように家畜の生産性や生産効率だけを追求するのではなく、良質な飼料や水、飼育環境を整え、健康に飼うことが、新しい価値になるように研究をすすめています。
家畜の病気を診察・治療した現場の長年の経験から言えるのは、農家さんが牛や馬にちゃんと手を掛けてあげれば、長生きし、生産性も上がり、結果的に恩返しをしてくれるということです。それを理解してもらうには獣医師と農家さんとの信頼関係が必要!現在は、牛の予防獣医療や子牛の健康と疾病、乳牛の蹄病などの研究を行っています。
哺乳類の赤ちゃんが生きるためには親のサポートが不可欠です。私たちは哺乳類の特徴的な子育てが脳の中でコントロールされる仕組みを研究しています。さらにヒトでは親による虐待が社会問題となっていますが、動物でも問題になります。このような子育てトラブルが起きる仕組みを研究し、行動をコントロールする薬や治療法の開発を目指しています。
殺虫剤や抗生物質、環境汚染物質などが家畜に過度に曝露されることによる生産性の低下や、家畜に濃縮された化学物質が畜産食品を介して及ぼすヒトへの健康被害など、化学物質はヒトや動物の健康を脅かすことがあります。このような化学物質の有害性の評価や毒性が発現する仕組みを研究することで、獣医・畜産・環境分野に貢献したいと考えています。
脳内の情報処理メカニズムにはまだ多くの謎があり、その解明の鍵は神経細胞の情報伝達に関わる糖鎖だと考えられています。脳は領域ごとに役割が異なるため、各領域での糖鎖構造の役割を研究し、情報処理メカニズムの解明を目指しています。また、哺乳類や鳥類、爬虫類の嗅覚の多様性を研究し、動物の知覚と生態の関連性を追求しています。
野生動物、家畜、動物園や水族館の生き物など、死んだ動物を解剖して、細胞、器官、骨格などの機能的な働きを分析しています。特に繁殖に関する生殖腺と胎盤の発生を研究中。また、臨床解剖学的データの蓄積を行い、現場の獣医師や獣医師を目指す学生をバックアップするプロジェクトを始めています。生物は死してなお多くを語ってくれます。