スタッフ

相内 大吾

准教授

研究テーマ

昆虫寄生菌による多様な害虫の生物防除に関する研究。特に、昆虫寄生菌感染昆虫の行動変化に着目し、殺虫効果の向上や、害虫の無害化を目指した研究。

所属・担当

グローバルアグロメディシン研究センター 農畜産学研究部門

研究域 環境農学研究部門 植物生産科学分野 植物生産科学系

学部(主な担当ユニット)

植物生産科学ユニット

大学院(主な担当専攻・コース)

畜産科学専攻 植物生産科学コース

研究分野 応用昆虫学, 昆虫病理学, 生物防除学, 害虫管理学, 動物行動学, 作物保護学, 衛生動物学, 植物病理学
キーワード 生物防除, 微生物防除, 昆虫寄生菌, 病原体媒介性昆虫(ベクター), ベクターコントロール, 行動制御, 農業害虫, 衛生害虫, 貯穀害虫, IPM, ポストハーベストロス, 植物ウイルス, 天敵昆虫, 植物農薬

研究紹介

本研究室で扱う研究材料は大きく「農業害虫」、「衛生害虫」、「貯穀害虫」の3つに分けられます。そしてこれら害虫をいかにして防除するか?害虫はどうやって死に至るのか?死の前後にどのような変化が起こるのか?を研究しています。

基本的には昆虫寄生菌を用いた生物的防除を中心に研究してますが、天敵昆虫や植物農薬、光誘引など、美しく害虫を殺すもしくは無害化できるのであれば手段は選びません。

現在は(1)植物の中に潜む能力を持つ昆虫寄生菌を使ったアブラムシやチョウ目の農業害虫の生物的防除や行動変化について、(2)昆虫寄生菌を感染症媒介蚊に感染させることで、様々な行動を阻害し、「生物」としては生きているが「ベクター」としては死んでいる状況を生み出す研究とそのメカニズムの解明、(3)昆虫寄生菌を食べて経口感染した害虫体内での菌の動態、(4)アフリカにおける貯穀害虫被害を低減する生物的防除法の開発と現地菌株ライブラリの構築、(5)エゾシカに寄生するマダニからのダニ寄生菌の分離といった研究を実施しています。

昆虫寄生菌に感染したハマダラカ
昆虫寄生菌に感染したハマダラカの頭部の様子(黒色が昆虫寄生菌)
昆虫寄生菌に感染したワタアブラムシ
昆虫寄生菌に感染したオンシツコナジラミ の卵
貯蔵中のトウモロコシ種子を食害するオオコナナガシンクイムシ

現在取り組んでいる研究テーマ一覧

<農業害虫防除>

  • 植物内生昆虫寄生菌感染植物上で吸汁するアブラムシの防除効果と行動制御
  • 植物内省昆虫寄生菌感染トウモロコシを摂食したアワノメイガおよびツマジロクサヨトウの防除効果と感染動体、行動制御

<衛生害虫防除>

  • 昆虫寄生菌による感染症媒介蚊の行動制御と菌の感染動態
  • 昆虫寄生菌の感染症媒介蚊致死因子の特定
  • エゾシカに寄生したマダニ類からのダニ寄生菌の分離・同定と季節消長

<貯穀害虫防除>

  • アフリカの貯穀害虫に対する含昆虫寄生菌疑似餌を用いた防除法の開発
関連産業分野 生物農薬, 農薬, 農業, 衛生動物学
プロジェクト 日本学術振興会 基盤研究C「昆虫寄生菌の経口感染病理と消化管デリバリーシステム」
所属学会 Society for Invertebrate Pathology(無脊椎動物病理学会), 日本応用動物昆虫学会, 日本菌学会, 昆虫病理研究会, 北日本病害虫研究会, 日本アフリカ昆虫学協会
学位 博士(農学)
居室のある建物 総合研究棟I号館
部屋番号 S3105-5
メールアドレス aigo atmark obihiro.ac.jp

卒業研究として指導可能なテーマ

  • 上記、農業害虫・衛生害虫・貯穀害虫を対象とした害虫防除研究を実施していますが、この他に興味のある研究材料や防除技術、研究分野があればぜひ提案してください。どういった方法論で希望するテーマを形にできるか一緒に考えましょう。どうせやるなら、ワクワク感を持って没頭できる楽しい卒論テーマ選びをしたいと考えています。

メッセージ

農業害虫管理学分野では「潜在収量レベル」という言葉があります。これは、防除を実施することで損失をゼロにした場合の農作物の収量のことです。現状では、防除を実施しても30〜50%が病害虫の被害で損失しているとされており、防除技術のイノベーションにより、これだけの増収が可能であることを示してます。我々は、この潜在収量レベルにいかに近づけるか、害虫による被害をいかに軽減するか、試行錯誤を重ね日夜研究を進めております。
​当ラボの上位目的として「食糧安定供給」と「感染症制圧」とがあげられますが、いずれも人類の生存や豊かさにつながるテーマです。これらの課題に対して害虫の防除というアプローチから問題の解決に取り組んでいます。