令和5年3月1日、畜産フィールド科学センターにおいて「令和4年度 酪農基礎技術研修(WEBセミナー)」を開催しました。
この研修は、酪農に係わる新たな人材を育成するため、就農予定または就農後間もない後継者等を対象に、酪農に関する基礎的な知識・技術の習得を図ることを目的としています。
今回は『機械搾乳と乳房炎』をテーマに、草場信之准教授が講師を務め、北海道内の各地から9名が受講しました。
ミルカーは毎日、乳牛の乳頭に触れる唯一の機械です。そのミルカーなど搾乳システムの基本的な構造をはじめ、システムの不具合が乳房炎に及ぼす様々な影響とその改善策等について、現場の事例を紹介しながら詳しい説明がありました。
▲チューブ類のねじれやアライメントの不整はライナースリップを誘発して、分房間の搾乳時間に差を生じさせ、搾り切りが悪いひとつの原因となり、過搾乳につながること。
▲ライナースリップは搾乳中の異常な真空度の変動をもたらして、バックフローによる乳房炎の感染を誘発すること。
▲調圧器のフィルターの汚れや不適切な設置は、調圧能力の低下から真空度の変動を招くこと。
▲牛乳配管の傾斜不足や逆勾配は、生乳の滞留や不安定な陰圧供給を招くこと。
▲その他、パルセーターの不調や高泌乳に対応できない古いミルカー、・・・etc. 搾乳システムの不具合は乳房炎の感染リスクを増加させる要因となります。
搾乳システムは正常に稼働していることが大前提で、そのうえで、正しい搾乳手順や搾乳衛生を考えます。搾乳システムが正常に機能しているかどうか、酪農家自身による日常点検や清掃だけではなく、1年に1回はメーカーなどによる定期点検を受けて確認・修繕することが重要です。
受講者からは「これから新規で酪農を始めるので、わかりやすい資料と説明で勉強になり、こういうことをするとダメなんだという想像ができました」、「身近なもので例えていただき、すごく分かりやすかった」、「チューブのねじれは直すようにしていましたが、直すことはとても重要なことが分かったのでスタッフに伝えやすくなりました」、「出かけて聞きに行くのが難しいのでリモートのセミナーは嬉しいです」等の感想が寄せられました。
畜産フィールド科学センターからリモートで講義
講師の草場信之准教授