畜産フィールド科学センターにおいて、「令和4年度生産獣医療技術研修(WEBセミナー)」を2月1日(水)、8日(水)、15日(水)、3月1日(水)の4回に渡って開催しました。
この研修は、平成22年度から社会人教育事業として開催しており、今年度は酪農生産現場における大きな課題である『乳房炎』をテーマに、乳房炎対策の基本を学び、発生の低減につなげるスキルの習得をめざした初級~中級編としました。北海道内から沖縄まで、全国各地の臨床獣医師や飼料・乳業メーカーの技術者等46名に参加いただきました。
研修は、「第1回 乳房炎の原因菌」、「第2回 泌乳生理と正しい搾乳」、「第3回 搾乳システムと乳房炎」、「第4回 乳房炎コントロールへの介入」について、毎回14時30分から17時までの2時間30分、いずれも草場信之准教授が講師を務め、農場での改善事例を交えながら詳しい説明がありました。
研修修了後に寄せられた多くの感想の一部を紹介します。
・治療方針の決定にあたり、菌の同定が大切であることが理解できました。これからは、とりあえず抗生剤!ではなく、Culture-based Therapyの基準を参考に治療を考えていきたいと思いました。
・菌種ごとに違う対応が必要なことを再認識したこと、知識が不足していた部分の補完ができ、オンファームカルチャーの費用対効果を確認できたことで農場の相談への選択肢が増えたと感じました。
・プレディッピングと前搾りの役割の再確認ができました。乳の出方が悪いのが牛のせいではなく、アラインメントの不整や搾乳のやり方自体によるものということも勉強になりました。
・泌乳生理に合った搾乳が大切であるという認識をずっと持っていましたが、そもそもミルカー搾乳が自然と違うことや、泌乳生理に個体差があることは念頭に置いていませんでした。搾乳指導に当たり、とても大事な大前提を学ぶことができました。
・搾乳システムのことを知りたいと思っていましたが、よく分からず今まで触れるのを避けていましたが、今後は現場の人たちと話すきっかけにできそうだと思いました。
・毎年ミルキング診断を行っているが搾乳システムについてぼやっとした理解だったが今回の講義でよく理解できた。早速搾乳システムについてどういう状況か確認したいと思う。
・乳房炎対策をするにあたって、実際の症例も踏まえての対策内容がとてもわかりやすかったです!ありきたりな対策ではなく、毎回実際の現場で応用できる考え方ばかりで、大変ためになりました。木を見て森を見ずになりがちなので、より大きな視点で問題を捉えられるようになっていこうと思います。
・農家さんへの乳房炎コントロールの介入は、発生原因の根本を直さないといけないこと、視野を大きくすることが分かりました。搾乳システムや環境が悪かったら、搾乳衛生を頑張っても乳房炎の発生は防げないことを考えていかなければならないと学びました。
・乳房炎に関する問題を抱えている農家さんに指導する際の着目ポイント、心構えについて理解できました。現場での仕事で応用していきたいです。
・4回通して聞くことで乳房炎に関する捉え方が変わりました。広い視野で、取り組んでいきたいと思います。
乳房炎対策は「やれることから」ではなく
「やるべきことから」取り組むことが重要
搾乳システムは、正常に稼働していることが大前提で、そのうえで搾乳手順や搾乳衛生を考える