令和6年11月
帯広畜産大学のミッションは、「知の創造と実践によって実学の学風を発展させ、『食を支え、くらしを守る』人材の育成を通じて、地域及び国際社会に貢献すること」です。畜産フィールド科学センターは、帯広畜産大学の教育・研究・地域活動の基盤となる「現場」を提供します。120頭の乳牛・肉牛を飼養し、100haの圃場を有する国内の大学で屈指の規模の附属農場です。また家畜・植物防疫研究室、馬介在活動室、乳製品工場、家畜のと畜・解体施設が、それぞれの目的に従って活動を行っています。
教育活動においては、学生の実習やサークル活動を通して、農学を学ぶうえで必須である「実学の場所」となります。研究者にとっては、多くの動物と大規模な圃場を利用して、フィールドレベルでの実証研究ができる「研究の場所」を提供します。また地域の学校や幼稚園・保育園と連携し、将来の世代に農業・畜産に触れる機会を作り、個々の成長や将来の産業を担う人材育成に貢献する場所であり、加えて農業団体や関連組織との産業交流の場所となっています。
世界的な気候変動や人口増加に伴う食糧供給問題や不安定な地政学的状況がもたらす資源供給の問題があります。国内においては、経営の担い手の不足や老齢化や少子化が食料の生産構造・消費構造に大きな影響を与えています。食の安全・安心に対する社会的要請も継続しています。課題は増え、複雑なものになり、より大きなものになっています。私たちは、農業・畜産に携わるステークホルダーの一員としてこれらに取り組んでいかなくてはなりません。この状況のなかで、畜産フィールド科学センターは、文字通り「フィールド」として機能することで、問題解決能力の高い人材や組織作りに貢献したいと考えています。また地域・関係者のネットワークの拠点になりたいと考えています。
2023年度には、アニマルウエルフェアに配慮したフリーバーン牛舎が稼働しました。2024年度は、新しい講義棟・管理棟が建設中であり、また3月には乳製品工場が稼働する予定です。これらの施設が、これからの畜産科学フィールドセンターの役割を更に高めてくれるものと期待しています。興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
畜産フィールド科学センター長
田中 秀一