スタッフ

岩本 博幸

教授

研究テーマ

生産から消費にいたるフードシステムの視点から持続可能な畜産経営の成立条件解明に関する研究

My Dream

畜産業の持続可能性を高める仕組みづくり

所属・担当

研究域 環境農学研究部門 農業経済学分野 農業経済学系

高度人材共創センター センター長

学部(主な担当ユニット)

農業経済学ユニット

大学院(主な担当専攻・コース)

畜産科学専攻 農業経済学コース

研究分野 農業経済学, フードシステム論, 環境経済学
キーワード SDGs, 環境保全型農業, アニマルウェルフェア, エシカル消費

研究紹介

国連サミットでSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)が採択されて以来、市民レベルで持続可能性について考える機会が増えてきていると思います。畜産業もその例外ではなく、産業として、あるいは人の生き方という意味での生業として畜産業が社会に存在していくには、社会のSustainability(持続可能性)に配慮し、自らも持続可能な産業であることが大切な時代になりつつあります。

SDGsが注目される以前から、畜産業は美しい農村景観を形成し、国土保全や保健休養といった多面的な環境便益を社会に提供してきたことが知られています。これまでの研究において、Stated Preference Method(表明選好法)を適用して環境便益を定量的に経済効果として評価する研究に携わってきました。

しかし、一方で畜産業は家畜排せつ物の処理問題など、環境負荷が少なからず生じる産業であることもまた事実です。これまでに家畜排せつ物処理法をはじめとする法的な環境整備とともに、畜産農家の経営努力のもとで環境負荷を低減する取り組みが進められてきました。このような環境保全型畜産経営への転換が経営に与える影響について、これまで数理計画法などを用いて明らかにし、持続的可能な経営であるための社会的条件について解明する研究を行ってきました。

このように畜産業が持続可能であるためには、畜産経営体が持続可能である必要があります。しかし、同時に持続可能性を理解し、支える消費者の存在も重要です。現在、表明選好法の適用によって、環境保全型畜産による畜産物、アニマルウェルフェアに基づいて生産された畜産物の消費者評価を求める研究に取り組んでいます。

現在取り組んでいる研究テーマ一覧

  • アニマルウェルフェア認証畜産物の消費者評価分析
  • 環境倫理が消費者行動に与える影響の分析
関連産業分野 畜産業, 食品産業, 環境技術
所属学会 日本農業経済学会, 日本フードシステム学会, 日本農業経営学会, 日本計画行政学会, 日本都市計画学会, 地域農林経済学会, 北海道農業経済学会, 食料・農業・農村経済学会, Agricultural & Applied Economics Association
Editorial Board
  • フードシステム研究編集委員; 2019-現在
学位 博士(農学)
居室のある建物 総合研究棟Ⅰ号館
メールアドレス h3iwamot atmark obihiro.ac.jp

卒業研究として指導可能なテーマ

  • 自然環境・生態系サービスの経済評価
  • 環境保全型技術導入における経済・経営分析
  • 食品安全性に対する消費者評価
  • 有機農畜産物・フェアトレード・アニマルウェルフェアなどの消費者行動分析

メッセージ

現在、農畜産物の生産現場では、環境配慮型技術の導入や家畜福祉への配慮、地域ブランド化などさまざまな新しい取り組みが始まっています。畜大は最現場に近い大学だと思うので、積極的に出て学んでみましょう。一方で、消費者においても「より環境を重視した選択をしたい」とか「生産者を支援できる商品はないの?」といったニーズが強くなってきています。このような生産者と消費者をつなぎ、より持続可能な農畜産業としていくためには、社会的なシステムとして両者をつなげる仕組みづくりが大切であり、その仕事は経済・経営学をはじめとする社会科学の出番となります。技術の力を社会を変える力にしたいと考える人、いっしょに考えていきましょう。