10月22日~24日の3日間,帯広畜産大学において「チーズ製造学 第1回短期研修会」を開催しました。
帯広畜産大学では,酪農産業の持続可能な発展に貢献することを目的とし,令和6年6月に「ミルク&チーズコンソーシアム」を設置しました。
コンソーシアムでは,生乳生産を支える乳・乳製品の消費構造の変革を促進し,産学連携による国内トップレベルの乳・乳製品の拠点を形成することを目指しています。
本研修会はコンソーシアム事業の一環として,優れた乳製品を製造するために必要な正しい知識と適切な技術を身に着けるため,座学と製造実習を合わせた内容で実施し,道内外から合わせて11名が受講しました。
1日目は,本学の平田 昌弘 教授,福田 健二 教授をはじめ,よつ葉乳業株式会社,株式会社明治,公益財団法人とかち財団及び道内外の工房から,チーズ業界の第一線で活躍されているプロフェッショナルを講師に招き座学講義を行いました。
乳文化,HACCP等の食品衛生管理,生乳の取り扱い,乳酸菌,凝乳酵素についてなど幅広い分野からチーズ製造について講義し,またゴーダチーズ,モッツアレッラチーズの製造方法についての詳しい解説を行いました。
座学講義の後には講師や受講生,コンソーシアムメンバーを交えた交流会を実施しました。交流会では,受講生が自身の工房等で作成したチーズの見た目や組織,風味等の官能評価を行い,よりよいチーズを作るための意見交換を活発に交えました。
また,共働学舎新得農場 代表 宮嶋 望 氏をお招きし,チーズ製造にまつわる講話をいただいたのち,参加者からの質問や製造に関する悩みにお答えいただく時間も設けられました。
座学講義の様子
官能評価の様子
共働学舎新得農場 宮嶋 望 氏
2日目は,神奈川県にあるLatteria BeBe Kamakuraより岩崎 暁 先生を講師に迎え,熟成チーズ(ゴーダ)の製造実習を行いました。
受講生はスターターの添加から参加し,レンネット(凝乳酵素)の添加,カードカットなどの工程を見学しながら温度や時間の計測,記録を行いました。攪拌をしながらカードの状態を触覚や味覚で確認し,型入れ,加圧,反転を行いながら冷却までを実践しました。今回の研修で製造したチーズホール4個は,受講生,講師の工房によって熟成試験を実施しています。
Latteria BeBe Kamakura 岩崎 暁 先生
反転作業をする受講生
3日目は,株式会社白糠酪恵舎 井ノ口 和良 先生を講師に迎え,フレッシュチーズ(モッツアレッラ)の製造実習を行いました。
受講生は最適なタイミングでフィラトゥーラ(生地を練り、繊維状に伸ばしていく工程)を行うため,ストレッチテストを何度も実践しました。ジューシーなモッツアレッラを作るために必要な,長く細い繊維を作るために重要な点を意識しながらフィラトゥーラを行い,成形,冷却をして仕上げました。
株式会社白糠酪恵舎 井ノ口 和良 先生
ストレッチテストを行う受講生
受講生からは,
「他の工房のチーズ作りを体験して,とても勉強になりました。たくさんのチーズ関係の方々との出会いも今後に活かしていきたいと思います。」
「現場で活躍されていた製造のプロの講師は,知識だけでなく,それを経験と結び付けてエラーやイレギュラーに適切に対処されていて,知識の応用,アウトプットの大切さを感じました」
といった感想が寄せられました。
ミルク&チーズコンソーシアムでは今後も酪農産業の持続可能な発展に貢献するための研修やイベントを実施していきます。