スタッフ
岡村 雅史
教授
研究テーマ
病原細菌の宿主特異的病原メカニズムの解明を通して、宿主動物との共進化の歴史を理解し、感染症を制御するMy Dream
動物感染症の制御を通じて世界の食の安全確保・安定供給に貢献する所属・担当
獣医学教育国際認証推進室 スタッフ
動物・食品検査診断センター 細菌分野
学部(主な担当ユニット)
大学院(主な担当専攻・コース)
研究分野 | 微生物学, 感染症学, 人獣共通感染症学, 分子細菌学 |
キーワード | サルモネラ, ゲノム, 宿主特異性, ニワトリ, ウシ, ウマ |
研究紹介
サルモネラ属菌はその菌体と鞭毛の抗原の組み合わせにより2700種類に上る血清型に分類され、病原性を示す血清型の多くは様々な動物に下痢をはじめとする消化器症状(ヒトでは食中毒)を引き起こします。一方で、10種類に満たないわずかな血清型だけが特定の動物にのみ敗血症を引き起こし、死に至らしめます。しかし、この強い宿主特異的な病原性をもたらすメカニズムはまだ明らかにされていません。そこで我々はこれまでに、鳥類を宿主とする家禽チフス菌(血清型Gallinarum)が感染鶏体内で発現する50種類の抗原を同定しました。さらにこれらの抗原をコードする遺伝子を欠失させた変異株を利用して、これらの遺伝子がどのように家禽チフス発症に関わっているのかを明らかにするとともに、これまでにサルモネラの研究によく用いられてきたネズミチフス菌(血清型Typhimurium)を比較対象として、宿主特異的な病原性と致死性に不可欠な遺伝子とそれが関与するメカニズムを明らかにしようとしています。また、現在、牛に感染する血清型Dublinや馬に感染する血清型Abortusequiなどに関する研究も進めており、いずれはサルモネラ属菌全般の病原性に関する理解を更新したいと考えています。
この研究によって、病原細菌と宿主動物の共進化の歴史を紐解き、さらには人獣共通感染症病原体がいかにして様々な動物種に感染できるようになったかを明らかにし、人や動物の感染症の制御法の開発へ貢献することを目指しています。
現在取り組んでいる研究テーマ一覧
- 家禽チフス・ひな白痢の病原メカニズムの解明
- 牛サルモネラ症の疫学調査と制御法の確立
- 馬パラチフスの病原メカニズムの解明
関連産業分野 | 養鶏産業・畜産業, 動物衛生, 動物用医薬品(ワクチンなど), 食の安全 |
所属学会 | 日本獣医学会, 鶏病研究会, 日本細菌学会, 獣医疫学会, 日本野生動物医学会, 日本食品微生物学会 |
Editorial Board |
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学位 | 博士(獣医学) |
資格 | 獣医師 |
居室のある建物 | 総合研究棟Ⅰ号館 |
部屋番号 | S2102-1 |
メールアドレス | okamuram obihiro.ac.jp |
卒業研究として指導可能なテーマ
- 家禽チフス・ひな白痢の病原メカニズムの解明
- 牛サルモネラ症の疫学調査と制御法の確立
- 馬パラチフスの病原メカニズムの解明
メッセージ
私は、いわゆる「町の獣医さん」を目指して獣医大学に入学しましたが、入学後に獣医師の職域の広さに驚かされました。私はその後これまで様々な人との出会いや導きによって、当初の目標であった臨床獣医師ではなく、病原細菌や動物の感染症に関する研究・教育に携わる大学教員として現在に至っています。
人生は選択の連続です。しかし、「人生大博打」ではなく、様々な経験を通して自ら得た一次情報に基づいて、その選択肢を自分で絞り込み、選択し、その人生を納得して過ごすことが重要であり、それが充実感や幸福につながります。時には引き返したりやり直したりすることもあるでしょう。そんな時のためにも、学生の間にしかできない様々な学外実習には積極的に参加し、自分の様々な可能性や将来像をイメージしながら6年間を有意義に過ごしてください。
国家試験までは、知識を蓄積し、解答のある問題を解くことが中心ですが、獣医師になってからはどの職業を選んでも「自分で問題を見つけて自分なりの答えを導き出す」ことが必要になります。知識も知恵も必要ですが、それに基づいて自分で考えることがより重要です。このリサーチマインドを養うためにも、私とともに研究を楽しみませんか?