スタッフ

松井 基純

教授

研究テーマ

ウシの繁殖効率の改善を目指した繁殖生理の理解

所属・担当

研究域 獣医学研究部門 臨床獣医学分野 産業動物獣医療学系

動物医療センター 産業動物診療科

獣医学教育国際認証推進室 スタッフ

別科 別科主任

高度人材共創センター 獣医分野推進室長

学部(主な担当ユニット)

獣医学ユニット

大学院(主な担当専攻・コース)

獣医学専攻

研究分野 繁殖生理学, 臨床繁殖学
キーワード 牛, 卵子, 卵胞, 黄体, 卵巣, 子宮, 人工授精, 受精卵移植, 定時授精法, 繁殖障害, 野生動物繁殖

研究紹介

酪農や肉牛生産において、子牛の生産という繁殖が順調に営まれることは不可欠なことです。しかし、現在の牛の繁殖管理では、「人工授精に不可欠な発情発見が難しい」、「人工授精や受精卵移植の受胎率が十分なレベルに達していない」、「妊娠が成立したのに、妊娠喪失が生じてしまう」など、様々な問題が起こっており、繁殖効率改善には多くの課題が存在しています。
獣医臨床繁殖学研究室では、ウシが分娩してから次の妊娠までに何が起こっているのか?また,どうすれば効率良く次の妊娠が成立するか?について調べ、ウシの繁殖効率改善へ貢献できる知見を得るための研究を行っています。これらの研究では、生理学的な観点から課題にアプローチする事を重視しています。牛の繁殖における問題が、どの様な生理的異常が関与して生じているのか、また、生理メカニズムに生じた異常に対し、どのような対策(治療など)が有効なのか、などについて、生体の中で起こっている生理メカニズムの解明が、ウシの繁殖効率改善には不可欠だと考えています。
 このような考え方に基づいて、以下の研究を行い、ウシの繁殖効率改善を目指しています。
 ①卵巣生理(卵胞および黄体の形態や機能)とそれに関連する内分泌
 ②乳牛の妊娠成立に関わる生理メカニズムの解明(卵管および子宮機能、免疫機能など)
 ③ホルモン処置による定時人工授精に関する研究

 獣医臨床繁殖学研究室では、産業動物だけでなく、野生動物に関する研究も実施可能です。野生動物に関しては、動物園などの飼育施設での繁殖管理、自然環境における野生動物の生態保全などにおいて、繁殖生理に基づく対策などが必要ですが、多くの野生動物ではその繁殖生理は不明な点が多いです。そこで、産業動物や伴侶動物、実験動物などにおいてわかっている繁殖生理やそれらを調べるための研究手法を応用し、野生動物の繁殖生理の解明につながるような研究もこれまで実施しています。ただし、連携可能な飼育施設(動物園、水族館など)で飼養される動物に限定された研究となります。また、これらの研究については、強い熱意をもって取り組む学部学生や大学院生が在籍している時に実施しており、野生動物に関する研究が絶えず継続しているわけではありません。
 これまで、以下のような野生動物に関する研究を実施しました。
 ①雄カマイルカにおける非侵襲的な繁殖内分泌モニタリング法の研究
 ②内卵殻膜を用いた、簡便な鳥性判別法の開発
 ③交尾期にみられる雄エゾヒグマの背部における脂腺の役割に関する研究
 ④エゾヒグマの精子形成と冬眠との関係についての研究
 ⑤エゾシカ避妊ワクチンの開発に向けた研究

現在取り組んでいる研究テーマ一覧

卵巣生理(卵子,卵胞および黄体の形態や機能)とそれに関連する内分泌
乳牛の妊娠成立に関わる生理メカニズムの解明(卵管および子宮機能、免疫機能など)
ホルモン処置による定時人工授精に関する研究
末梢血や乳汁を利用した早期妊娠診断に関する研究
乳牛の飼養環境が繁殖機能に及ぼす影響について(ヒートストレス、栄養管理など)
野生動物の繁殖に関する研究(飼育施設飼養動物が対象)

関連産業分野 畜産, 獣医学
所属学会 日本獣医学会, 日本繁殖生物学会, 米国酪農科学協会. (American Dairy Science Association), 日本畜産学会
学位 博士(獣医学)
資格 獣医師
居室のある建物 総合研究棟1号館
部屋番号 S2106
メールアドレス mmatsui atmark obihiro.ac.jp

卒業研究として指導可能なテーマ

卵巣生理(卵子,卵胞および黄体の形態や機能)とそれに関連する内分泌
乳牛の妊娠成立に関わる生理メカニズムの解明(卵管および子宮機能、免疫機能など)
乳牛の飼養環境が繁殖機能に及ぼす影響について(ヒートストレス、栄養管理など)
ホルモン処置による定時人工授精に関する研究
末梢血や乳汁を利用した早期妊娠診断に関する研究
野生動物の繁殖に関する研究(飼育施設飼養動物が対象)

メッセージ

【卒業研究に対する考え】
  卒業研究とは,現時点の問題点を見つけ(テーマの選定),その解決方法を探り,アプローチして,その結果を解析して,原因究明や新しい発見,さらに次の方針を立て(実験とその解析),それらを周りへ伝え理解してもらう(研究発表)という一連の流れの中で,考える力,人へ伝える力,人と協調し物事を成し遂げる力をトレーニングする場であると考えています。これは,動物の病気をみつけ,臨床検査により原因を探り,診断と治療プランを立てて飼い主に説明する,という臨床現場での獣医療にも通じるものであり,体系的・論理的にものごとに取り組む力を養う活動であると考えます。このような経験は,卒業後,臨床現場や研究分野のみならず,様々な分野で要求されるものです。したがって,卒業研究には積極的に取り組んで欲しいと考えます。

【学生さんへの願い】
 学生さんには,臨床・研究に関わらず繁殖に関するあらゆることを体験・勉強してもらい,獣医繁殖学のプロになってもらいたいと願っています。牛の臨床に興味のある学生さんには、個体および牛群を診ながら、健康かつ効率の良い生産性を保つ飼養管理を構築するために、飼養者と協働できる獣医師になって欲しいと願っています。