スタッフ

小川 晴子

教授

研究テーマ

ウイルスの感染症の制御に関する研究

所属・担当

研究域 獣医学研究部門 基礎獣医学分野 応用獣医学系

動物医療センター 診断検査科

学部(主な担当ユニット)

獣医学ユニット

大学院(主な担当専攻・コース)

獣医学専攻

研究分野 ウイルス学, 感染症学, 免疫学
キーワード インフルエンザウイルス, ニューカッスル病ウイルス, 牛白血病ウイルス, 遺伝子変異, 病原性, 抗ウイルス物質, ワクチン

研究紹介

ウイルス感染症に関する研究を行っており、主な研究対象は鳥インフルエンザウイルスです(写真参照)。H5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスが家禽と人に致死的な病気を起こすことが知られてから約15年が経過しましたが、近隣のアジア諸国などで流行は続いています。原因ウイルスが野鳥によって遠くまで運ばれ得ることから、渡り鳥を対象とした鳥インフルエンザウイルスの疫学調査は重要です。私達は、国内外の研究者らと協力しながら北海道東部を中心とした疫学調査を行なってきました。わが国で3度目のH5N1高病原性鳥インフルエンザの発生があった2011年には、オオハクチョウの結膜ぬぐい液からH5N1ウイルスを分離しました。結膜検体からのH5N1ウイルスの分離は初めての報告でした。疫学調査を行う中で、H5N1以外の様々な鳥インフルエンザウイルスを分離しました。1例では、離れた地点にいたカモメとシギから、ほぼ同じH4N8ウイルスを分離しました。このウイルスはオーストラリアのシギから分離されたウイルスと近縁であることが明らかとなり、鳥の移動とともにウイルスが動いていることを実感しました。なお、これらウイルスは野鳥に病原性を示すことはありません。しかし、偶発的に家禽や哺乳動物に感染した場合に遺伝子変異が起こり、それが病原性変化につながることがあります。ウイルスの病原性獲得の機序を理解することは重要であるため、私達は野鳥由来ウイルスが哺乳動物に感染した場合の遺伝子変異と病原性変化について研究を行っています。
牛白血病ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、鶏貧血ウイルスなどに関する研究も行っています。新たな抗ウイルス物質、迅速簡便なウイルス感染症の診断法、ワクチン効果の増強法などの開発を目指した研究も行っています。天然由来物質の感染症や炎症への応用にも興味を持っています。オリーブ由来のヒドロキシチロソールに強い抗酸化作用があることは知られていましたが、私達は抗ウイルス活性があることを明らかにしました。新たな有用物質の発掘を目指した研究も続けていきたいと思っています。

ウイルス研究に用いる10日齢の発育鶏卵の発育状態

現在取り組んでいる研究テーマ一覧

  • ウイルスの病原性と宿主の免疫応答に関する研究
  • ウイルス感染症の新たな診断法・予防法・制御法の開発 
  • 野鳥や野生動物に感染するウイルスの疫学調査研究
関連産業分野 獣医学, 畜産学, 医薬品
所属学会 日本獣医学会, 日本ウイルス学会, 日本獣医師会
学位 博士(獣医学)
資格 獣医師
居室のある建物 総合研究棟4号館
メールアドレス hogawa atmark obihiro.ac.jp