(第1部)基調講演
7月25日(火)に本学講堂において、「帯広畜産大学 第1回畜産シンポジウム」を開催しました。
本学では、昨今の酪農情勢を踏まえ、特徴ある乳製品の研究開発と製造、総合的な地域連携、乳文化の形成、人材育成に資するため、ミルク&チーズコンソーシアムの設立を目指しており、そのためのキックオフイベントとして本シンポジウムを開催しました。
シンポジウムでは酪農の現状と課題を整理し、酪農経営と乳製品の需要創出、世界の乳文化に関する研究紹介を行い、牛乳・チーズ製造関係者の話題提供と意見交換を行いました。
初開催となった今回は、十勝農業協同組合連合会、十勝品質の会、十勝毎日新聞社、株式会社明治、森永乳業株式会社、雪印メグミルク株式会社、よつ葉乳業株式会社の各機関の後援を受け、本学会場(141名)とオンライン(157名)にて開催し、計298名の方にご参加いただきました。
第1部では、「日本の酪農産業(生産・流通・消費)における課題と求められていること」と題して、十勝農業協同組合連合会の原仁氏に基調講演いただき、大きく3つの課題とその対策についてお話いただきました。
十勝農業協同組合連合会・原 仁 氏
(第1部)帯広畜産大学の研究紹介
次に、本学環境農学研究部門の三宅俊輔准教授からは「酪農経営からみる需要拡大の重要性」と題して、今後の酪農経営への長期的な展望をお話いただき、人間科学研究部門の平田昌弘教授からは、世界の乳文化と比較した日本の乳文化の課題についてお話いただきました。
環境農学研究部門・三宅 俊輔 准教授 人間科学研究部門・平田 昌弘 教授
(第1部)産業界からの話題提供:パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、藤井牧場の藤井雄一郎氏、白糠酪恵舎の井ノ口和良氏、よつ葉乳業の内田健治氏、十勝品質の会 の宮嶋望氏、4名のパネラーがそれぞれの取組みを紹介したのち、会場の意見、オンラインからの質問を交えて意見交換を行いました。
「消費者の皆さんが望み、口にあう、健康にいい、食育にも通じる本来のものづくりの原点に戻ること」「健康論や栄養論として、乳製品が付加価値の高い類いまれな製品であることを伝えること」「大手製品と工房製品の価格差にもふれ、多様な乳製品の特徴付けに努力していくこと」をポイントにディスカッションが展開されました。最後に、座長の平田教授によって、「ミルクやチーズの特徴、価値、餌づくりなども見据えた地域連携の方向性について、コンソーシアムを作って議論を重ねていきたい」と締め括られました。
パネルディスカッションの様子 白糠酪恵舎・井ノ口氏
(左から) 十勝品質の会・宮嶋氏、よつ葉乳業・内田氏、藤井牧場・藤井氏、平田教授
(第1部)ミルク&チーズコンソーシアムの設置に向けて
本学環境農学研究部門の河野洋一准教授からは「北海道酪農の将来に向けて畜大が取り組んでいきたいこと」と題して、ミルク&チーズコンソーシアムの設立と将来構想について紹介されました。「コンソーシアムのメンバーは、本学の企業等集積プラットフォーム※に参加いただいた方から募りたい、ぜひシンポジウム参加の皆さんに参画していただきたい」とお話がありました。(※企業等集積プラットフォームの登録は無料です。)
環境農学研究部門 河野 洋一 准教授
(第2部)情報交換会
第2部では、畜大生協前に場所を移して情報交換会(畜大じんぎすかん会議)を行いました。
当日の最高気温は34℃。夕方でも30℃を超えたままで、帯広市では珍しい猛暑日での開催でした。本学の事務職員がアテンドした十勝管内ジンギスカンの4種食べ比べをメインに、後援機関様から提供されたチーズや、学生の酒造りプロジェクトで製造された日本酒「碧雲」や十勝産ワイン、生ハムなどが提供されました。講演者や研究者と参加者の活発な意見交換が行われ、盛会のうちに終了しました。
情報交換会会場の様子 後援機関様から提供されたチーズ
参加者アンケートでは、「乳文化の発展は畜産の発展に欠かせない。通常業務の中では捉えにくい角度から、畜産業を見つめる事ができました」、「特徴ある乳製品開発の意義も良く理解できました」、「文化のような素人にも取っ付きやすいテーマがあり、非常に興味深かった」とのご感想と、「時間が短く、もっと聞きたいと思いました」、「継続してやってほしい」、「酪農家・生産者の立場を考え、道・国等に訴えるべき事を深く掘り下げて第2回とか3回に向けてお願いします」とのお言葉もいただきました。
産学連携センターでは、今回参加いただきました企業等集積プラットフォームの皆様とも、様々な方法で情報発信や交流の場の形成に取り組んでいきます。