コロナ禍が落ち着きを見せているものの、国際情勢を取巻く環境は、ウクライナだけでなく、中東の情勢悪化も加わり、更に厳しくなりそうな様相を見せています。そのしわ寄せは、国内のあらゆる産業に大きく影響を及ぼし、ここ十勝においても例外なく、基幹産業である第1次産業の行く末が案じられるところです。
地域に貢献する産学連携センターに就任以来、何ができるか考え続ける中で、一昨年は、十勝管内の全農協を回り、昨年は十勝管内の全町村で、地域の皆様と直接対話し、最新の情報をいただくとともに、現場の方々からの要望をお聞きしてきました。
たくさんの課題がある中、本学が力になれるものとして、昨年度は、初めての試みとして北海道酪農の課題解決に向けたミルク&チーズコンソーシアム形成に向けた畜産シンポジウムを7月に開催、9月には「これからの酪農のあり方とは」と題して産学官金連携交流会、11月には、十勝の研究6機関が集まるスクラム十勝シンポジウムにおいて「食料安全保障の強化に向けて」と題し、地域の皆さんからいただきました課題に対して専門家の意見を交えながら課題解決への深堀をしてきました。
これらの活動を通じて企業等集積プラットフォームの参画機関が84機関まで広がり、その中から連携の取れた企業を中心に未利用資源の有効活用を目指したコンソーシアムが立ち上がりました。今年度は、ミルクやチーズの需要拡大に向けた教育研究を推進するコンソーシアムを立ち上げる予定です。さらに地域の金融機関の皆様には、これらの活動を加速させるために寄付金をいただき、産学官金一体となり、地域の課題解決に向けた具体的なプロジェクトを構築し推進してまいりたいと思います。
経営統合した北見工業大学や小樽商科大学と連携した農商工連携プロジェクトも順調に進み、実証フェーズに入るテーマもできてまいりました。また今年度は、本学の恵まれた環境にある圃場や新牛舎を有効活用し、新技術のフィールドにおける実証試験を加速する「次世代農畜産技術実証センター」が立ち上がる予定です。これら大学関係部署と連携しながら地域に貢献する産学連携をさらに強化して取り組んでまいりたいと思います。
引き続き皆様の、ご指導ご鞭撻をいただけますようよろしくお願い申し上げます。
令和6年5月