平成30年度活動報告
1.文部科学省採択プロジェクト分
(1)研修
①前提条件プログラム研修プログラムの実施
HACCPの基盤となる整備しておくべき衛生管理である前提条件プログラムのうち、施設、機械、器具、作業者等の管理に関する決まりに特化した研修を、平成30年6月22日、10月19日に実施しました。
本学の研修プログラムの特徴は以下の通りです。
- HACCPプラン、前提条件プログラムの重要性や科学的な根拠を得る方法を紹介する。
- その方法に基づいて、受講者が持参した温度計等を用いて校正を行う実習や器具・手洗いの洗浄効果確認等の実習を行う。
②講演会「HACCPに対応した、食品安全を保証する設備の保守点検とは」の開催
平成30年7月23日に、 HACCPシステムの危害要因分析と設備・機械の保守・点検がどの様な関係で有るべきかについて理解していただくことを目的に、株式会社日本能率協会コンサルティングと共同で講演会を開催し、食品加工製造企業・団体から24名が参加しました。
③HACCP・十勝倶楽部会員企業向けの内部監査員研修の実施
平成30年10月4、5日にHACCP・十勝倶楽部会員企業向けの内部監査員研修を実施し、北海道HACCP認証を取得した企業から7名が参加しました。
④ISO22000内部監査員研修の実施
平成30年11月20、21日に十勝管内のISO22000認証を取得した酪農家・関係団体の関係者4名が参加し、ISO22000内部監査員研修を実施しました。
⑤1月23、24日:フードバレーとかち人材育成事業「農業生産者コースGAPセミナー」で畑作におけるHACCP構築手法について研修を実施しました。
⑥管理職・リーダーのための「コミュニケーションセミナー」を開催
平成31年2月21日に、株式会社知識経営研究所の坂田和則氏を講師にお招きし、食品安全・品質管理のマネジメントを確実に回すために必要なコミュニケーション力についてお話いただきました。
十勝管内の食品に関わる企業・団体の管理職・リーダー21名が参加しました。
(2)コンサルティング
北海道・十勝地区の食品加工・製造企業、農家、酪農家で北海道HACCP認証取得やHACCPシステム、ISO22000、FSSC、GAPの構築・認証取得を目指す企業や団体に対して支援を行いました。
①北海道HACCP構築 : 1件(酪農業 6次化)
②北海道HACCP認証更新 : 1件(食肉加工)
③ISO22000構築及び認証取得 : 1件(酪農業・乳製品加工 6次化)
④FSSC22000構築 : 1件(食品加工業)
⑤G-GAP構築 : 1件(農業:蕎麦生産)
(3)その他
①8月16日:帯広厚生病院で「食品安全 意外と知られていないお話・・・」の演題で家庭での食品安全の注意点等を講話しました。
②10月9日:HACCPシステム構築の指導者を対象に「十勝地区におけるHACCPシステム構築の標準的な支援方法」に関する研修を開催しました。
③11月15日:農業改良普及員対象に国内で認証取得されている食品安全システムや各種GAPの特徴を解説する研修を開催しました。
④3月14日:JICA主催のHACCP関連の研修をキューバ、コソボ、モルドバ、ウクライナ他研修生に行いました。
2.大学院カリキュラム・高大連携・共同研究等に関連する食品安全マネジメントシステム推進活動
(1)大学院生向け
食品安全に関する関連知識・技能、HACCPシステム構築研修(計8日間)
平成30年9月に12名の大学院前期学生に対し以下のHACCP関連教育を実施しました。
本学の「HACCPシステム構築研修」は一般的なHACCPシステム構築3日間研修と異なり、前提条件プログラムの解説を7原則12手順によるHACCPシステム構築演習の実施後に行っています。
これは7原則12手順でCCPやPRP管理対象工程を特定する仕組みを理解し、その後、具体的な前提条件プログラムの内容を解説する方がより理解が深まることが長年の講義経験から判明したからです。
この前提条件プログラムの解説は「座学と演習」で行われます。
座学では各種FSMSにおける前提条件プログラムの種類や要求事項の解説を行い、更に米国のFSMA対応を意識してPRPの中でも重要な工程を抽出し、管理方法を決定する手順等も(実際に管理プログラムを作成させて)解説しています。
演習では院生に自宅で洗浄した食器などを持参させ、洗浄効果をATP測定器で判定することや、温度計の校正、水道水の残留塩素濃度測定、次亜塩素酸ナトリウム殺菌水の残留塩素濃度測定、ブラックライトを用いた手洗効果の確認などを行っています。
この様に本学の「食品安全に関する関連知識・技能及びHACCPシステム構築研修」は院生が食品関連企業に就職した際に「即戦力」となれることを意識した内容に仕上げています。
平成30年度実施(選択科目)
内容 | 実施日 |
---|---|
<食品安全に関する関連知識・技能> | |
1. 食品有害生物の基本,殺菌方法の理解 | 9月18日(火) |
2. 食品衛生基本法、食品衛生法の理解 3. 食品衛生法施行条例(都道府県条例)の理解 |
9月19日(水) |
4. 食品表示法の理解 | 9月20日(木) |
5. 食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針の理解 6. 大量調理施設衛生管理マニュアルの理解 |
9月19日(水) |
7. 設備・機械の保守管理計画立案、運用管理、記録作成方法の理解 8. 保守管理技能実習 工具の管理・使い方、取り外し部品の管理方法等 |
9月21日(金) |
<HACCPシステム構築> | |
1. EHEDG概論 衛生加工におけるハザード 衛生設計基準 2. 危害要因の種類の理解 |
9月25日(月) |
3. Codex食品衛生の一般原則の手順1~6:危害分析に必要な事前情報の収集及び製品説明書、フローダイヤグラム、施設図面等の作成 4. HACCP原則1:「危害要因分析」 |
9月26日(火) |
5. HACCP原則2:「CriticalControlPoints(必須管理点)」の決定及び妥当性の検証 6. HACCP原則3~5:許容限界、モニタリング、是正措置方法の決定及び妥当性の検証 7. HACCP原則6~7:検証、記録方法の決定及び妥当性の検証 8. 前提条件プログラムの解説 9. 演習成果発表:構築されたHACCPシステムの総合評価 10. 理解度確認テスト及び修了証書授与 |
9月27日(水) 9月28日(木) |
(2)高大連携事業
平成30年8月22~24日に高大連携事業の一環として、帯広農業高等学校の食品科学科の生徒40名及び教員3名にHACCP構築専門家研修を行いました。
(3)よつ葉乳業株式会社との共同研究
よつ葉乳業株式会社と連携し、北海道・十勝地区の酪農家4戸を対象に、ISO22000の認証取得に向けた構築支援及びISO22000:2018へのアップデート作業の支援を行いました。
平成30年度8月には酪農家2戸ISO22000:2005の認証を取得しました。
更に平成31年4月には残り2戸の酪農家もISO22000:2005の認証を取得しました。
3.その他の食品安全に係る活動
(1)「Visual栄養学テキスト 食べ物と健康Ⅲ 食品衛生学 食品の安全と衛生管理」の一部を渡辺特任教授が執筆しました。
(2)ホクレン農業協同組合連合会酪農部 「北海道指定生乳生産者団体情報 Vol.243」にISOについての解説が掲載されました。