挨拶

産学連携センター長 岡田 繁

  アメリカによるイラン攻撃に伴う中東情勢の緊迫化や、ウクライナにおけるロシアによる侵攻の長期化など、国際情勢の不安定化が続き、世界経済に大きな影響を及ぼしました。こうした動きは、十勝の基幹産業である農畜産業にも波及しており、加えて国内では高齢化の進行に伴う人手不足が深刻化するなど、地域産業を取り巻く環境は一層厳しさを増しております。

 このような状況の中、産学連携センターでは、地域に貢献する組織であることを基本に据え、企業等集積プラットフォーム参画企業をはじめ、十勝管内の自治体、農業協同組合その他関係機関の皆様と丁寧な対話を重ねてまいりました。把握した地域ニーズを踏まえ、令和7年度は「十勝における農産物の高付加価値化」をテーマとした産学官金交流会を開催するなど、課題の深掘りと共有、新たな連携の醸成に取り組んでまいりました。

 また、酪農産業の持続的発展に向けて設立した「ミルク&チーズコンソーシアム」では、チーズ製造学短期研修会をはじめとする教育プログラムの実施や、新たな乳製品開発に向けた活動を展開してまいりました。「地域統合・データ駆動型未利用資源活用コンソーシアム(以下、未利用資源活用コンソーシアム)」等の取組も着実に進展しており、企業等集積プラットフォームへの参画機関数は100機関を超える規模へと拡大しております。

 さらに、これらの取組を基盤として、帯広市との連携を一層深化させ、内閣府の地方大学・地域産業創生交付金に採択されました。「十勝型フードシステムの形成」をテーマに、環境に配慮した持続可能な農業の推進と農産物の高付加価値化を通じた地域産業の活性化に向けた新たな取組を開始しております。
加えて、本取組の一環として、令和8年度には食品加工に関する実践的な教育研究機能の強化を図るため、新たにチーズ工房を整備する予定です。既存の乳製品工場や酒蔵とあわせ、これらを一体的に運営する「食品加工イノベーションセンター」を核として、産学官金の共創を実践する拠点形成を進めてまいります。

 また、北見工業大学及び小樽商科大学との経営統合から4年が経過し、農商工連携による分野融合型研究も着実に進展しております。センサー技術と牧草研究を融合した「牧草刈取りトラックガイダンスシステム」の開発をはじめ、現在14件の研究が進められております。

 地域や企業の皆様が抱える課題は容易に解決できるものではありませんが、北海道国立大学機構をはじめとする関係機関の皆様と連携しながら、今後も地域に根差した産学連携の強化に取り組んでまいります。

 今後とも皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

令和8年5月