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コーネル大学からヘレナデター先生が来学

コーネル大学獣医学部のヘレナ・デター先生を招へいしシェルター・メディシンについての特別講義の開催及び研究交流を実施しました。

日本の動物保護施設(シェルター)からの譲渡数は年々増加傾向にあり,それに伴い犬・猫の殺処分数は年々減少しています。このような施設における特別な獣医療全般をシェルター・メディシンと呼び,獣医学では新しい専門領域です。シェルターには様々な背景の多くの犬・猫が同時に飼育されており,保護されている動物を集団として捉えた健康管理(群獣医療)が求められます。これは一般家庭での個体管理とは大きく異なります。シェルターの重要性が増すなか,本学におけるシェルター・メディシンに関する教育と研究の推進を図る目的で,平成30年4月3日〜6日まで,米国コーネル大学獣医学部よりヘレナ・デター先生を招聘しました。デター先生は日本に在住していたこともあり,親日家でいらっしゃいます。

4月3日に,この分野に興味を持つ教職員や学生,シェルター関係者等学内外の方々を対象に「シェルター・メディシンにおける予防獣医学」についての特別講義を開催し,伴侶動物の個体診療とは異なるシェルターでの獣医学についてご講演いただきました。また,アニマル・ホーディング(多頭飼育崩壊)等この分野に関する興味深い症例を取り上げ,症例検討会を行いました。

滞在中には,本学の獣医学教育研究施設や動物医療センターの保護動物の不妊手術施設,地域の保護施設を見学し,意見交換を行いました。また,昨年度コーネル大獣医学部生のアンジェラ・ジンさんと行った共同研究について打ち合わせをし,今後の教育や研究交流について協議しました。また,東京にてカリフォルニア大学デイビス校の田中 亜紀先生と日本のシェルター・メディシンについて話し合いました。今後も地域の保護施設や国内外の専門家と連携しながら,シェルター・メディシンという学問領域を深めていきたいと思います。

文責: 川本 恵子

講演するデター先生(手前は通訳の安田 準也先生)
講演するデター先生2