帯広畜産大学 教員情報一元管理システム

1972年2月兵庫県生まれ．大学入学以来，新潟・福岡・北海道（札幌）・沖縄と移動し，縁あって2015年春に帯広畜産大学に赴任しました。

今日の地球規模での気候変動や人物の移動の増加は，人畜共通感染症のベクターや作物害虫の侵入や分布拡大，花粉媒介昆虫の減少といった被害を拡大させ，我々の生活を脅かしつつあります．こうした問題を解決するには，昆虫生態学や環境に配慮した方法による個体群管理の知見が重要になります．

これまで「昆虫の社会性進化」，「不妊虫放飼法を利用した害虫管理」，「サツマイモ害虫の生態学的研究」をキーワードに基礎と応用の両面から研究を進めてきました．現在はこうした研究に加え，北海道の農畜産とも関連が深い花粉媒介昆虫や糞虫，あるいは侵入害虫や身近な昆虫にも対象を広げ，室内や野外での行動観察や操作実験によって「行動・形態（かたち）・色彩」の適応的意義の解明や，種間相互作用や群集生態への効果の解明に取り組んでいます．

こうした研究の成果は，単に対象とする昆虫の生態を明らかにするだけでなく，我々に豊かな実りをもたらす農畜産環境の構築にとって不可欠なものになると考えています．

• 昆虫とその外骨格形成に関与する共生細菌の共進化に関する研究（イモゾウムシ）
• 近親交配回避と複数回交尾に関する研究（イモゾウムシ）
• 構造色多型に関する研究（オサムシ・アリモドキゾウムシ）
• 甲虫の角形状の多様性に関する研究（カブトムシ）
• 花粉媒介昆虫の訪花行動に関する研究（マルハナバチ）

身近な昆虫を材料とした

• 配偶行動に関する研究
• 社会性進化に関する研究
• 形態と行動に関する研究

など，野外や室内での観察や操作実験を中心とした研究（材料は要相談）

その間，アシナガバチを材料とした昆虫の社会性進化の研究や，熱帯・亜熱帯域の世界的なサツマイモ害虫であるゾウムシ類の，不妊虫放飼法を利用した個体群管理に関する研究に取り組んできました．テーマも材料も全く異なっていますが，何れの研究でも，対象とする昆虫をよく観察することが新たなアイデアを生み出すきっかけとなりました．

みなさんが昆虫のある形質（行動や形態）の適応的意義を明らかにしたい場合，先行研究にもとづき仮説をたて，野外観察や室内での飼育・観察，操作実験によって検証することになります．研究を開始する際には，どこから手を付ければよいのかよくわからないかもしれませんが，まずはしっかり虫の生き様を観察することが，研究の糸口を見つける近道なのかもしれません．

「最も基礎的な研究が最も役に立つ研究」という言葉が示すように，一見，応用的にも見える害虫管理のような研究課題も，実は基礎研究の集積なのです．昆虫の行動の理解は，生物多様性の理解だけでなく，その知見を活かした害虫管理技術の確立につながり，我々の生活をより豊かなものにしてくれるものと考えています．

I am an evolutionary biologist fascinated by behavioral ecology, and my research has mostly focused on insects.

I was born in Hyougo, Japan in 1972.

Today's global climate change and increasing people's movement are threatening our lives through the invasion and distribution of vectors and pests. In order to solve these problems, knowledge of insect ecology and management by environmentally friendly methods becomes important.

I have been studied based on the keyword "evolution of insect eusociality", "pest management using sterile insect technique", "ecological study of sweet potato weevils". Currently, in addition to these studies, we are also expanding to pollination insects, invasive insects and insects closely related to agriculture in Hokkaido. Studies conduct in and out laboratory to learn the evolution and adaptation of behavior, shape, coloration of target insects. My study aim is to understand the balancing the ecology through the interactions between species and community.

• Interactions between insects and symbiotic bacteria in a sweet potato weevil.
• Inbreeding avoidance and female multiple mating in insects
• Polymorphism of structural coloration in insects
• Morphometric study of horned beetle
• Flower visiting bees