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令和6年度 HACCP・食品安全管理プログラム 「帯広セミナー」を開催しました

10/21(月)帯広畜産大学において,令和6年度 HACCP・食品安全管理プログラム 「帯広セミナー」を対面,オンライン,オンデマンドにより開催し合計60名の参加がありました。

当日は3名の講師の方から講演をいただきました。
はじめに本学の通山志保客員教授から「最近の食品安全情報」と題して,消費者の健康被害につながる恐れのある食品の表示について説明がありました。消費者庁の8月のリコール情報では,表示の間違いによるものが発生件数の41%と多く,そのなかでもアレルゲンや期限表示の表示欠落が多く見られたこと,また,某製薬会社の機能性表示食品による健康被害の問題を受けて,健康被害情報の報告の義務化やGMP(適正製造規範)の要件化が9月1日に施行されたこと,さらに消費者庁では今年度末をめどに「期限表示ガイドライン」の見直しが検討されていること等について説明がありました。

最近の食品安全情報について
講師:通山志保客員教授(帯広畜産大学 )

研修の様子

次に,株式会社 山本忠信商店 品質保証室 課長 後藤和香子様から,自社の製粉工場・プレミックス粉工場におけるHACCP認証からISOの認証取得までの経緯,小麦粉とプレミックス粉の製造工程を紹介していただきました。続いて,自社における内部事故について,その発生原因,対処内容,是正措置,再発防止に向けた取り組み等について,事例をもとに詳しく説明していただきました。さらに,リスク分析と情報の周知・共有の大切さから,組織内部だけではなく外部とのコミュニケーションの重要性についても述べられていました。

最後に,株式会社 つくば食品評価センター 検査試薬事業部 部長 加藤重城様から,食品工場におけるアレルゲンの管理について,アレルギー反応とアレルゲンの表示,アレルゲンの検査方法の説明がありました。アレルゲンの検査方法のELISA法,ウェスタンブロット法,PCR法,イムノクロマト法それぞれの特徴について説明を受けた後,会場では受講者が検査キットを使った乳酸菌の拭き取り検査方法を実習しました。

自社における内部事故の事例を紹介
講師:後藤 和香子氏

((株)山本忠信商店 品質管理室 課長) 

乳酸菌の拭き取り検査方法について説明
講師:加藤 重城氏

((株)つくば食品評価センター 検査試薬事業部 部長)

拭き取り検査用のキット

拭き取り検査方法について実習

受講者の方から寄せられた意見・感想の一部を紹介します。
・食品安全に関する情報は食品業界で働くうえで知識として持っておくべきものであり,いかなる部分でも活用できると感じています。
・職場でのコミュニケーションをしっかりとり,ミスをした場合にすぐ報告する。それが大事であると思いました。
・内部事故の事例紹介は弊社工場でも似たような事が起こっており,今後ISO22000を取得する流れになった際には大いに役立つ内容だった。
・比較的手軽な拭き取り検査キットで,実施から結果の保存まで自社で完結できるのは便利だと思った。

本学では今後も,HACCPシステム導入や従業員のHACCP教育を検討されている事業所等の支援となるよう研修を継続していきます。