祖父が農家だったため,農業には昔から興味がありました。高校では生物の授業が好きでしたが,実は動物が苦手。でも畜大は畜産だけでなく作物についても研究できることを知り,入学しました。いま研究しているのは,コムギの「穂発芽」という現象を引き起こす遺伝子についてです。「穂発芽」とは収穫前のコムギが降雨や低温により発芽する現象のことで,これが発生するとコムギの収量や品質が下がるため大きな問題となっています。研究ではコムギを畑や温室で実際に育て,実験室で遺伝子を調査。力仕事から地味な単純作業まであり,根気が必要な研究です。また実験ではひとつのミスが命取りになるため,集中力も求められます。研究を始めるきっかけは授業で学んだ育種学に興味が湧き,いまの研究室への分属を希望したこと。なかでも「穂発芽」を,もっと詳しく知りたいと考えたからです。
将来は作物の育種を通して,食の安全や食料の安定供給に貢献できるような研究者になりたいです。そのためにまず卒業研究をしっかり行い,大学院に進学することが当面の目標。畜大の魅力は実験室だけではなく,フィールドで体を動かして研究できることです。十勝という農業の盛んな地域で,農家さんの生の声を聞けることも特長。こうした強みを活かし,研究の完成度を高めたいと思います。
所属や肩書はインタビュー当時のものです。