もともと動物が大好きで,幼少期の夢は動物園の飼育員や水族館のイルカのトレーナー。中学生のとき尾ひれを失ったイルカに人工尾ひれを作ろうと奮闘する獣医師の密着番組を見て,獣医師になろうと決心しました。所属する内科学研究室では,治療しても良くならない牛や原因が分からない牛の臨床診断を実施。初めて担当した牛も,首を後ろに反り返らせる「後弓反張」(こうきゅうはんちょう)という原因不明の神経症状を示していました。診断は基本の聴診・触診や血液検査等に加え,細胞採取やエコー検査・X線・CTを用いての画像診断も。蓄積した症例データをもとに,解明の糸口が見いだせないか研究しています。
牛の臨床現場では高度診断装置が使えないため神経疾患の確定診断は難しく,簡便な診断マーカーが求められています。そこで神経細胞に特異的なNSEに着目して,神経細胞損傷の程度との相関性を研究しています。実験は失敗が多く,いい結果が出ないのは当たり前。めげずに試行錯誤し,もがくことが大切だと思います。
卒業後にめざしているのは動物園の獣医師。園の動物を通し地球や野生動物,環境問題等を考えてもらうきっかけ作りをしたいです。一方,生活に密着した食を支える仕事にも惹かれています。研究分野を活かせることから,牛の獣医師もいいなと思い始めているところです。
所属や肩書はインタビュー当時のものです。