院進学にあたり山内研究室を訪問させていただいたところ,消費者に近い「食」の研究ができることと先生の人柄に惹かれ「ココだ!」と直感しました。1年目は,「生地を冷蔵保存しても通電湯種製パン(以下通電湯種)の特性が維持できるか」について研究。もっちりした食感と甘みで人気の「湯種パン」は,小麦粉に直接熱湯を加えるため品質にバラつきが。それを均一加熱で改善したのが「通電湯種」です。実験では対照・通常湯種・通電湯種の3種で,色・比容積(膨らみ)・老化・糖含量等9項目について測定。結果,冷蔵しても通電湯種の特長は損なわれないことが分かりました。2年目は通電湯種のおいしさを幅広く発信したいと,醤油を用いたパン作りに挑戦。日本の伝統的な味わいを継承しながら,パンに新しい魅力を加えることが狙いです。添加する醤油を何%にするか,品質改善のための最適酵素添加量を決めるのに苦労しています。食べることは心の栄養,想い出につながるもの。将来は食品メーカーに勤め,咀嚼が難しい高齢の方でも噛み切りやすくかつ味の分かりやすい製品を提供していきたいと考えています。
所属や肩書はインタビュー当時のものです。