一次、二次産業での国際貢献を東南アジア中心に取り組んでいきたいです

青木 景子

Aoki Keiko

University Putra Malaysia, Master of Plantation Management 在学
2010年3月 畜産科学科 畜産国際協力ユニット,副専攻 生態系環境科学ユニット 卒業

畜大を選んだ理由を教えてください

幼い頃から自然や生き物に興味があり,家族旅行で北海道を初めて訪問した際に見た広大な大地と大自然に魅了され,中学生の時には北海道で自然に関わる勉強をしたいと強い意志をもっていたのを覚えています。
帯広畜産大学との出会いは,新聞で母親が畜大の記事を見つけ「北海道にこんな大学があるよ!」と教えてくれた事でした。これをきっかけに,中学生ながら畜大に進学することが大きな目標になっていました。高校の担任の先生が偶然にも畜大卒業生であった事もあり,先生に進学のサポートをして頂くなど益々畜大進学が現実の目標となっていきました。
自分の好きな土地で好きな事を学ぶ,単純ですがその強い憧れと人との出会いが帯広畜産大学へ進学するきっかけとなりました。

ユニットを選択した理由は何ですか

選択した当時は具体的にどの分野へ進むのかは決められていませんでしたが,生態系環境科学ユニットは野生動物,植物,昆虫,微生物,土壌と自然生態系を幅広く学べるユニットで,様々な分野の授業を受講しながら自身の興味を発掘できるチャンスもあり,選択しました。
また,3年次からは,畜産国際協力ユニットを選択しました。高校時代にJICA主催の3週間研修プロジェクトでブラジルへ行き,スラム街を目の当たりにしたり,異文化に触れる楽しさを知ったり,その頃から国際関係に対する興味も徐々に持ち始めていた事もあり,このユニットを知った時には迷わず選択しました。苦手な英語をブラッシュアップしながら,国際関係論を学ぶことができ,また海外研修や国際関係機関へのインターンシップ,畜大への留学生向けに研修プログラムを組むなど,実践的な事を学ぶことができる点がこのユニットの魅力だと思います。
研究室は,岸本正教授の研究室へ所属しました。当時,JICAとの共同プロジェクトでアフリカ最貧国の一つであるマラウイの草の根活動に関われるチャンスにも恵まれました。

卒業後は就職されたと伺いましたが,その企業を選んだ理由は何ですか
また,辞めた理由をお聞かせください

卒業後は農業業界で営業を経験したいという目標を持って就職活動を行っていましたが,農業業界はまだまだ男系社会で,多くの企業への就職に失敗していました。その中で,私の積極性,人間性に共感をもってくれた企業が,2018年までの8年間勤めた国内農薬メーカーでした。
メーカーでありながら,現場密着型の営業スタイルをポリシーに持っていた点に惹かれた事と,面接での気持ちの良いコミュニケーション,人事の方の親切な対応,社内の雰囲気など,理想的な職場環境を感じた事がこの企業を選択した決定打でした。
様々な貴重な経験を社会人生活で積み重ねると同時に,プライベートでは国際関係団体を含め様々なコミュニティーとの繋がりを持ち始め,ボランティアやセミナー受講,週末の英語の勉強が日課になっていました。その中でチャレンジを忘れない人との出会いに恵まれ,多くの刺激を受けました。
将来のキャリアの幅を広げるべく,専門性と語学を磨ける大学院留学を選択し,また,今後益々加速する国際化社会(特に発展途上国との関わり)への対応力をつけるため,多国籍社会のマレーシアへ生活の拠点を移す事を決意し,大好きだった会社の退職に至りました。

現在学んでいることを教えてください

マレーシアのプトラ大学は都市クアラルンプール郊外に位置し,マレーシアが英国領だった時代に設立された,国内で初めての農業大学です。現在専攻学科は多岐にわたり,発展途上国を中心に世界60各国以上から留学生を受け入れており,全生徒の30%を占めるインターナショナル大学です。多国籍国家のマレーシアにはこのような大学が多くあり,授業はもちろん全て英語で行われ,専門性を磨きながら英語力も身に着けられるだけでなく,異文化,異宗教を現地の人や留学生から感じられるという,先進国への留学では経験できない環境があります。
私は農学部の大学院でプランテーションマネージメントを専攻しています。このコースは研究職とは違い,各セメスターで様々な専門分野を学び,課題,試験を通じて単位を取っていくコース職です。オイルヤシ,ゴムの木,コーヒー,ココナッツなどの多年生作物を中心に,土壌学,病害虫学,植物生理学などの技術的な学問に加え,農業経済学,人的資源学,組織行動学,会計学などのマネージメント学問も多く学びます。

学んでいて大変だと感じるのはどんなことですか

留学1年目はやはり英語でのコミュニケーションに大変苦労しました。マレーシアで英語は第一言語ではありません。マレー系,中華系,インド系,その他多国籍の人が共通言語として英語を使っています。日本人の英語に独特な発音が生じてしまうのと同じで,それぞれのエスニックグループが使う英語には独自の発音が生じます。単純に英語力が不足していた事と合わせて,経験したことの無いヒアリングに当初は大変苦労しました。
また,留学生が皆経験する壁,異文化異宗教。特にマレーシアは70%がイスラム教徒で,『イスラムの教え』が彼らの生活の価値観になっています。彼らにとっては正当な理由も日本人のスタンダードでは理解できない。マイノリティーでいる事を楽しめるようになったのは留学後半年が経った頃からでしょうか。それまでは彼らの価値観や態度への理解に非常に苦労しました。

学んでいて喜びを感じるのはどんなことですか

マレーシアはイギリス占領下であった歴史が長く,大学教育の評価基準もイギリスのシステムを採用しています(全ての大学ではありません)。日本と大きく違う点は,評価の6割前後が課題によって決められる点,そしてグループワークが多い点です。一課題に対し2名から多くて5名のグループで一つのレポート,プレゼンテーションの作成と発表を行います。準備過程での意見交換や議論では,多くのアイディアや個人の能力に触れる事ができるだけでなく,自身のコミュニケーション能力を身に着ける事ができます。決して簡単ではないプロセスを得て完成させた課題には非常に意義を感じ,更にフィードバックで高い評価を得られた時にはグループ内が達成感に満ちます。これは決して個人,試験評価主義の日本教育では得られない経験と喜びです。

畜大で学んで,現在役立っていることを教えてください

国際協力ユニットで必須科目だったインターンシップで,あるNGO団体に2週間お世話になりました。その団体とは卒業後も連絡をとり合う間柄で,セミナーへの参加や,私と同じように畜大から学生を受け入れた際のサポートなど個人的に関わらせてもらっています。その団体をきっかけに他の国際機関を知り,行く先々で出会う多くの国際協力関係者とのコネクションは,現在非常に役に立っていると感じます。
また,畜大での学生生活で得た人脈(教授の方々や同期先輩後輩)は社会人になって以降も,助け合い,刺激しあえる,かけがえのない存在です。

今後の目標は何ですか

卒業後は今まで経験のない国際協力の分野へ挑戦してみようと思っています。以前の民間企業での営業の経験と,マレーシアでの学業を糧に,一次,二次産業での国際貢献を東南アジア中心に取り組んでいきたいです。

後輩になるあなたへ

常識やスタンダードが求められる社会で,将来に向けて不安や考え込む事が多くあると思います。しかし,一番大切なことは,今,何に興味があるのか,何に対して情熱を注げるのかです。現代の私たちは,”考える”事に忙しく,”感じる”事を忘れています。自分に規制をかけず,今のフィーリングを大切にして,自信をもってやっていってください。

 

所属や肩書はインタビュー当時のものです。

掲載日: 2019年12月