自分が関わった品種が、北海道農業の発展に寄与できたら嬉しいです

長澤 秀高

Nagasawa Hidetaka

地方独立行政法人北海道立総合研究機構 農業研究本部 十勝農業試験場 研究部 小豆菜豆グループ 2013年3月 畜産科学課程 環境農学ユニット 卒業 2015年3月 大学院畜産学研究科 資源環境農学専攻 修了 北海道帯広柏葉高等学校出身

畜大を選んだ理由は何ですか

実家が畑作農家だったこともあり,植物や動物が好きでした。さらに,生物の授業が好きで,そこで「青いバラ」のことを知り,遺伝子について興味を持ちました。高校時代の進路選択で「遺伝子関係について学びたい」,「将来,何か農業に関係する仕事に就きたい」という思いから農学部を志望しました。そこで,帯広畜産大学が農学を学ぶには適した環境にあり,当時の私の学力を考慮した上でも最適だと思い,受験しました。

ユニット・専攻を選択した理由はなんですか

大学で学ぶ中で,「作物育種学」や「分子生物学」などの分野に興味を持ちました。その中でユニットを選択するときに,食品科学ユニットと迷いましたが,研究対象は植物が良いという思いから環境農学ユニットを選びました。

畜大での学びを教えてください

基本的な植物生理や育種技術,試験研究の進め方など,役立っていることがたくさんあります。
また,所属していた研究室の先生やグループの先生と共同研究をする機会があり,連絡や相談がしやすいことや,仕事で畜大卒の方々とお会いする機会が多く,北海道の農業関係者との人脈が広げやすいと感じています。

現在の仕事を志望した理由は何ですか

大学院を修了してから,3年間北海道で農業の普及指導員の職に就いていました。しかし,所属していた研究室の教授から,現在の職場の募集があることを聞き,元々品種改良の仕事に興味があり,大学で学んだ知識を活かせることと試験研究が好きだったので志望しました。

どんな仕事をしていますか

小豆の品種改良業務に従事しています。
耐冷性,耐病性,機械収穫適性など,北海道での栽培に適した特性を持つ新しい小豆品種の開発を目指した品種改良や新品種の栽培技術の確立など北海道の農家さんが利用する技術の研究開発を主な業務としています。その他にも,当グループでは,小豆と菜豆(インゲンマメ)のより効率的な選抜手法の開発や遺伝資源の保存なども行っています。

仕事をしていて大変なことは何ですか

扱っている品種系統数が多く,1系統につき数メートルの畦1本で隣の畦は違う品種という試験区も多いので,ほぼ全ての試験において調査や交配はもちろんのこと,播種と収穫も手作業です。また,十勝農業試験場内だけでも2.5ha程度の圃場を人海戦術で作業しているので,播種や収穫時の繁忙期は,一日中圃場で手作業をすることです。

やりがいを感じるのはどんなことですか

仕事やプライベートで農家さんや農協さん,食品加工メーカーさんとお会いしたときに,所属しているグループで育種してきた新しい品種について,これまでの品種とどのように違うか,収量はどうかなど質問をいただき,興味を持ってくださっているのだなと感じます。実際に新しい品種の作付け予定面積が増えており,このような品種の育種に自分も関わることができることにやりがいを感じます。

今後の目標は何ですか

自分が交配や選抜に大きく関わった品種が世に出て,北海道農業の発展に寄与できたら嬉しいです。

後輩になるあなたへ

皆さんそれぞれやりたいことがあると思います。農学を学びたいのであれば,分野が多様な先生方や広大なキャンパスがある畜大はうってつけだと思います。
さらに,十勝は酪農も畑作もある地域で,農家さんで現場実習も兼ねたアルバイトができるので,農学を学ぶには良い立地だと思います。お菓子屋さんが多く,いろんなスイーツもあるので,食べ歩くのはいかがでしょうか。そのときは,せっかく全国の小豆の収穫量の約7割を占める十勝ですので,和菓子やあんこも是非食べてください。

地方独立行政法人北海道立総合研究機構 農業研究本部 十勝農業試験場

北海道河西郡芽室町新生南9線2番地
https://www.hro.or.jp/list/agricultural/research/tokachi/

地方独立行政法人北海道立総合研究機構(道総研)は,職員が一丸となって,総力を結集し,外部の様々な機関とも連携しながら,複合的な試験研究,技術支援等を推進し,道内産業の高度化や経済の活性化及び道民の暮らしの利便性や快適性の向上を図るとともに,食料問題や環境問題といった課題を見据え,未来に向けて夢のある北海道づくりに貢献する取組を進めていきます。
また,当場では,環境保全型の大規模畑作及び一部園芸との複合機械化農業のさらなる発展を目指して,畑作,園芸を中心に畜産との連携を図りながら試験研究を進めています。

所属や肩書はインタビュー当時のものです。

掲載日: 2019年3月