動く細菌

産業革命以降,人類は蒸気機関,ガソリンエンジン,電気モーター等さまざまな動力機関を発明してきました。一般的に人工の動力機関はエネルギー変換効率が低く,たとえば自動車のエネルギー変換効率は15%程度で,ほとんどは熱エネルギーとして無駄に捨てています。一方,生物が持つ運動器官は極めてエネルギー効率の高いエコな機械です。世界最小回転モーターであるF1F0-ATPaseはなんとエネルギー交換効率100%を達成しています。生物が持つ機械を研究することはスマートでエコな機械を開発する上でヒントになります。生き物の運動器官には,筋肉,ゾウリムシの繊毛,ミドリムシの鞭毛,棘皮動物の管足等がよく知られ,研究も進んでいます。しかし,細菌が持つ運動器官については真核生物の運動器官に比べると研究が進んでおらず,既知の運動メカニズムやエネルギー変換メカニズムでは説明のできないものが多く存在しています。私たちはそのような未知のメカニズムで駆動する細菌の運動器官について研究しています。

この文を書いた人 楠本 晃子 助教
所属 動物・食品検査診断センター/食品有害微生物分野研究域/獣医学研究部門/基礎獣医学分野/応用獣医学系
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