辻 修 教授 TSUJI Osamu
研究テーマ十勝地方は、開拓当初より、春先の馬糞風と呼ばれる強風によって風害を受けてきた。そのため農家は、防風林を自分の畑の周りに植栽してきた。しかし最近、耕地防風林が減少している。そこで防風林の再興を目指し研究している。
所属・担当
研究域/環境農学研究部門/農業環境工学分野/農業環境工学系研究分野 | 農業土木学, 農地保全学 |
キーワード | 耕地防風林, GIS, UAV, 風食, 農地保全 |
研究紹介
日本の代表的な食料供給基地の一つである北海道十勝地方では,春先に日高山脈から吹き下ろす「馬糞風」と呼ばれる強風が多く発生し,農作物に多大な被害を引き起こす。この強風から農作物を守るため十勝地方の開拓とともにこの地に根を下ろした耕地防風林は,今では十勝地方の原風景となっている。この耕地防風林は風害防止機能の他にも,農作物の増収効果や小動物の回廊機能など多面的機能を持っており,農業と環境の調和のために大きな役割を果たしている。しかし,昨今の農業の大規模化に伴い,その減少に歯止めがかかっていない。そこで本研究では,GISを用い十勝地方帯広市の耕地防風林に対する現地調査を行うとともに帯広市農村振興課2008年度調査とも比較してその現状を把握した。
調査は,北海道帯広市の畑作地域を対象に行っている。解析は,現地調査データ(樹高・樹種・列数など)をGISソフトに入力し耕地防風林のデータベースを完成させる。また、過去の調査のラスター耕地防風林データをGIS上でベクターラインデータに変換し、年度別の耕地防風林多層階データを作成する。他にも土地利用図などを入力し、帯広市農村部における耕地防風林に関する空間情報データベースを構築する。
このような手法により、2017年度における帯広市の耕地防風林は1,274ヵ所その総延長は219.7㎞であることがわかった。また耕地防風林の平均樹高は約13m,平均列数は2列,平均延長は約172mであった。そして2008年度と比較すると,この9年間で帯広市の耕地防風林は82.2㎞(約28.0%)と大きく減少していることもわかった。
これらの結果を踏まえ、視覚に訴える耕地防風林の主題図を作成し、農家はもとより、行政ともデータを共有することにより、耕地防風林の存続を訴えていく予定である。
現在取り組んでいる研究テーマ一覧
- UAVとマルチスペクトルカメラを用いた作物生育の推定
- UAV空撮のDEMデータを用いた採草地の雑草領域の判別
- 帯広市大山緑地の湿地復元に関する研究
所属学会 | 農業農村工学会 |
学位 | 博士(農学) |
自己紹介 |
香川県出身です。UAVやGISを使って、耕地防風林や土壌侵食の研究をしています。週末は、テニスを楽しんでいます。またオープンキャンパスでは、ドローンの操縦を体験してもらっています。 |
居室のある建物 | 総合研究棟1号館 |
メールアドレス | tsuji ![]() |