研究概要

離乳期に顕彰する自給本能の発現機構
哺乳期の動物は、母親から供給されるミルクを唯一の糧として受動的に得ています。それ故、ミルク以外の餌を自ら探し獲得する動機(モチベーション)は見られません。ところが離乳期を迎えると、乳仔はわずか数日でミルク以外の餌を自発的に探索し獲得するようになります。この事象こそが自給本能の発現です。自給本能の発現は、母乳に対する固執からの解放と餌を探そうとする動機の芽生えに基づく自発的な食探索行動(テリトリー探索を含む)を必然的に伴います。離乳のシグナルは三叉神経中脳路核(Me5)を経由して海馬歯状回(DG)に伝わります。このシグナルの伝達にはおよそ48時間を要しますので、伝達経路である神経回路も同時に形成されると考えています。離乳シグナルが無いかあるいは当該神経回路を遮断すると、短期記憶の機能を担う海馬は新規情報の学習記憶が出来ないか、あるいは記憶情報の新旧置換が出来ず、以前に覚えた古い記憶情報に固執します。すなわちこの固執からの解放こそが離乳後の新規環境への適応を可能にし、食べ物やテリトリー探索の動機が芽生えるきっかけとなるのではないかと考えています。離乳シグナルが無いかあるいはシグナル伝達の神経回路を遮断した動物個体の脳を調べてみますと、海馬Schaffer-CA1シナプスで通常認められる長期抑制(LTD)の誘導が起こらず、海馬で記憶された不要な情報を消去出来ないことが分かりました。最後に、離乳シグナルがMe5を介して海馬DGに到達すると、DGの神経細胞新生率と新生した細胞がGABA神経に分化する割合が負に制御を受けます。その結果、DGからCA3に投射するmossy線維のGABA作動性神経線維の割合が減少し、LTDの誘導と不要な記憶情報の消去を可能にします。この現象が食べ物の探索行動やテリトリーの探索行動の獲得に大切であることを証明しました。
○ Nishie, H., Miyata, R., Fujikawa, R., Kinoshita, K., Muroi, Y., & Ishii, T. Post-weaning mice fed exclusively milk have deficits in induction of long-term depression in the CA1 hippocampal region and spatial learning and memory.
Neurosci. Res. 73: 292-301, 2012.
Ishii, T., Suenaga, R., Iwata, W., Miyata, R., Fujikawa, R., & Muroi, Y. Bilateral lesions of the mesencephalic trigeminal sensory nucleus stimulate hippocampal neurogenesis but lead to severe deficits in spatial memory resetting.
Brain Res.1342: 74-84, 2010.
Ishii, T., Furuoka, H., Kitamura, N., Muroi, Y., & Nishimura, M.: The mesencephalic trigeminal sensory nucleus is involved in acquisition of active exploratory behavior induced by changing from a diet of exclusively milk formula to food pellets in mice.
Brain Res. 1111:153-161, 2006.
Ishii, T., Itou, T., & Nishimura, M.: Comparison of growth and exploratory behavior in mice fed an exclusively milk formula diet and mice fed a food-pellet diet post weaning.
Life Sciences 78: 174-179, 2005.
Ishii, T., Furuoka, H., Itou, T., Kitamura, N., & Nishimura, M.: The mesencephalic trigeminal sensory nucleus is involved in the control of feeding and exploratory behavior in mice.
Brain Res. 1048: 80-86, 2005.
離乳後に獲得する夜行性行動
動物の夜行性行動は離乳後に獲得・完成されます。この際、離乳のシグナルは三叉神経中脳路核(Me5)を経由し、視床下部TMN神経核に伝わり、さらに視床下部PFA神経核へと伝達されることを見つけました。離乳のシグナルがPFAに伝達されると暗期のPFAにおけるオレキシンの発現量が増加し、その結果、暗期は明期に比べて摂食量、飲水量ならびに自発運動量のすべてが増加することを証明しました。TMNはヒスタミン神経細胞体からなり、その細胞体は脳のあらゆる領域に神経軸索を投射しています。今後は、離乳後に活性化するMe5-TMN-PFA回路のさらに上流に位置する調節脳領域を同定し、動物の夜行性行動の獲得における機能調節の詳細を調べます。また、PFA神経核以外にも、脳のあらゆる領域にヒスタミン神経の軸索を投射しているTMNの役割についても、離乳後に活性化する意義と照らし合わせながら調べていきたいと考えています。
○ Ujita, K., Kinoshita, K., Muroi, Y., & Ishii, T. The effects of unilateral lesion of the tuberomammillary nucleus E2 sub-region on nocturnal feeding and related behaviors in mice.
Life Sci. 162: 70-76, 2016.
○ Yokoyama, S., Kinoshita, K., Muroi, Y., & Ishii, T. The effects of bilateral lesions of the mesencephalic trigeminal sensory nucleus on nocturnal feeding and related behaviors in mice.
Life Sci. 93: 681-686, 2013.
Ishii, T., Muranaka, R., Tashiro, O., & Nishimura, M.: Chronic intracerebroventricular administration of anti-neuropeptide Y antibody stimulates starvation-induced feeding via compensatory responses in the hypothalamus.
Brain Res. 1144: 91-100, 2007.
パーキンソン病患者に発症する認知障害の機構解明と治療法の開発
パーキンソン病(PD)は進行性の神経変性疾患の一つであり、わが国でも人口10万人に対し100人の発症が認められています。PDは中脳黒質のドパミン(DA)神経細胞が変性し、これが投射する線条体領域のDAが不足することで、振戦・固縮・無動などの錐体外路症状を引き起こします。また、PDでは運動症状以外にも精神症状や認知障害を併発することが多く、特に認知障害はPD患者の約40%に発症すると報告されています。それにもかかわらず、PDに認知障害が併発するメカニズムは未だ明らかにされておらず、このメカニズムを解明することは治療薬の開発のみならず脳神経機構の解明にも重要であります。そこで、中脳黒質のDA神経細胞を特異的に破壊する1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine(MPTP)を腹腔内投与することで作出したPDモデルマウス(PDマウス)の認知機能を解析することで、PD患者に高頻度に併発する認知障害の発症機構を解明し創薬に繋げることにしました。PDマウスの認知機能は、記憶の固定・再固定・消去のそれぞれの機能を、文脈的恐怖条件付けテストを用いて評価しました。このテストはある装置にマウスを入れ(条件刺激:CS)、嫌悪刺激となる電気刺激を与える(無条件刺激:US)ことで、その装置内に置かれた環境に対する恐怖を学習・記憶させるテストです。近年、獲得後固定された記憶は想起とともに一度不安定な状態となり、再固定という過程を経て長期記憶となることや、不安定な記憶は他の記憶と塗り替えられることで記憶の消去につながることが示唆されています。このテストでは記憶の固定後、再び同じCSを与えることで、再固定(短時間[3分]のCS暴露で誘導)や消去(長時間[30分]のCS暴露または頻回短時間[3分]のCS暴露で誘導)を誘導することができます。また、記憶の評価はマウスの恐怖行動の指標であるフリージング行動を測定することで行います。本法を用いて、PDマウスとcontrolマウスの記憶の保持能力を解析した結果、PDマウスの記憶の固定と再固定はどちらもcontrolマウスと差は無く正常でしたが、PDマウスの記憶の消去はcontrolマウスと比べてその機能が有意に亢進していることが分かりました。 さらに、記憶の保持能力を調べると、PDマウスの記憶の保持能力はcontrolマウスと比べてその機能が低下していることが分かりました。これらの結果から、中脳黒質のDA神経細胞を特異的に破壊したPDマウスは、記憶の消去機能が亢進し記憶の保持能力が低下していることが明らかとなりました。また、PDマウスとcontrolマウスの脳を神経化学的に比較解析した結果、記憶の消去が亢進し記憶の保持能力が低下したPDマウスでは、海馬のcAMP含量の低下と神経可塑的変化に必須の転写因子の一つ・リン酸化CREB (p-CREB)の発現量が海馬歯状回で低下していました。これらの結果は、PDマウスが示す認知障害は海馬歯状回のcAMP-PKA-CREBシグナルの低下が関与することを示唆しています。そこで、PDマウスの海馬歯状回cAMP-PKA-CREBシグナルを回復させる目的で、cAMPの分解酵素である脳型ホスホジエステラーゼIVの阻害薬であるロリプラムを腹腔内投与すると、海馬のcAMP含量とp-CREBの発現量がcontrolマウスのレベルまで回復し、PDマウスの記憶の消去の亢進が正常化しました。以上の結果から、ロリプラムはPDの認知障害に対する治療薬として有効であることを明らかにしました。現在、中脳黒質のDA神経細胞が傷害された場合に何故海馬機能が低下するのか、その神経回路の特定に向けた詳細な解析を進めています。
○ Kinoshita, K., Muroi, Y., Unno, T., & Ishii, T. Rolipram improves facilitation of contextual fear extinction in the 1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine-induced mouse model of Parkinson's disease.
J. Pharmacol. Sci. 134: 55-58, 2017.

○ Kinoshita, K., Tada, Y., Muroi, Y., Unno, T., & Ishii, T. Selective loss of dopaminergic neurons in the substantia nigra pars compacta after systemic administration of MPTP facilitates extinction learning.
Life Sci. 137: 28-36, 2015.

[特許出願中] 1. 特願2016-022645: パーキンソン病に併発した認知障害の治療剤
             及びそのスクリーニング方法

[特許出願中] 2. 特願2017-064344: パーキンソン病に併発した認知障害の治療剤

 
脳神経細胞に発現するIntegrin-linked kinaseの役割 (神経分化、細胞接着、生存・保護、成長、病態)
神経未分化細胞が神経に分化する機構には、特定の成長因子に依存した細胞内シグナル経路の活性化や、分化した神経細胞の機能維持に必須となる足場、すなわちラミニンなどの細胞外マトリックスへの接着とそれに由来する細胞内シグナル経路の活性化が重要となります。そこで、神経未分化細胞が神経細胞に分化する際に活性化するシグナル経路のキーとなる酵素を新たに見出し、その酵素タンパク質を精製後、本酵素に対する特異的抗体を作製しました。次に、モルモット脳から調整したcDNAライブラリーを作製し、特異的抗体を利用したexpression cloning法により、当該酵素であるIntegrin-linked kinase(ILK)のcDNAをクローニングしました。当時、ILKに対する特異的阻害薬は知られていなかったため、ILKの触媒ドメインの構成アミノ酸に点変異を挿入した不活化変異体(DN-ILK)を作製し、野生型ILKとDN-ILKを神経未分化細胞やマウス脳に強制的に高発現させることで脳・神経細胞におけるILKの機能を調べました。神経未分化細胞のモデル細胞としては低栄養条件下(血清の無い培養条件)でラミニンをコートした培養皿上で培養すると神経に分化するN1E-115細胞と、神経成長因子であるNGFにより神経に分化するPC12細胞の2種類の培養細胞を用いてILKの機能を解析しました。その結果、ILKはインテグリンと細胞外マトリックスの接着時に活性化し、神経への分化を促すことや、神経に分化後の細胞の生存に寄与することを見つけました。さらに、DN-ILKで内在ILKを阻害すると、アルツハイマー病患者の脳病変で認められているものと同じ型の異常リン酸化タウタンパク質が出現し、それが細胞の内面を籠状に覆う線維状の構造物として確認できました。これらの結果は、ILKが神経細胞の分化や生存以外に神経変性などの病変の進行を阻止する機能を担っている酵素であることを示唆しています。また、カイニン酸をマウスの腹腔内に投与すると海馬CA3領域の神経細胞に細胞死が生じますが、ILKをマウス脳に高発現するとカイニン酸による細胞死を阻害しました(未発表)。近い将来、様々な脳神経変性疾患を治療する上で、ILK関連遺伝子を用いた遺伝子療法やILK活性を調節する新薬の開発を期待するところであります。
Ishii, T., Uto, T., Mori, K., & Fujikawa, R.: Integrin-linked kinase is involved in lactoferrin-induced anchorage-independent cell growth and survival in PC12 cells.
Life Sci. 84: 530-536, 2009.
Ishii, T.Lactoferrin stimulates cell growth and survival in neuronal cells via activation of integrin-dependent signals.
Current Topics in Pharmacology (Review) 13: 67-73, 2009.
Ishii, T., Ishimori, H., Mori, K., Uto, T., Fukuda, K., Urashima, T., & Nishimura, M.: Bovine lactoferrin stimulates anchorage-independent cell growth via membrane-associated chondroitin sulfate and heparan sulfate proteoglycans in PC12 cells.
J. Pharmacol. Sci. 104: 366-373, 2007.
Ishii, T.Role of integrin-linked kinase in neuronal cells.
Current Enzyme Inhibition. (Review) 1: 3-10, 2005.
○ Muroi, Y.,Ishii, T., Teramoto, K., Hori, M., & Nishimura, M.: Calcineurin contributes to the enhancing effect of adenosine on nerve growth factor-induced neurite outgrowth via the decreased duration of p38 mitogen-activated protein kinase phosphorylation.
J.Pharmacol. Sci. 95: 124-131, 2004.
Ishii, T., Furuoka, H., Muroi, Y., & Nishimura, M. : Inactivation of integrin-linked kinase induces aberrant tau phosphorylation via sustained activation of glycogen synthase kinase 3βin N1E-115 neuroblastoma cells.
J. Biol. Chem. 278 (29): 26970-26975, 2003.
Ishii, T., Satoh, E., & Nishimura, M. : Integrin-linked kinase controls neurite outgrowth in N1E-115 neuroblastoma cells.
J. Biol. Chem. 276 (46): 42994-43003, 2001.
[特許取得] 特許4724836: 細胞遊離法、細胞遊離液、細胞培養法、細胞培養液、細胞液、                  細胞液製剤、細胞定着法及び細胞定着液
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動物の化学物質汚染調査方法に関する研究
雄成体ネズミの肝臓に発現する雄性誘導型CYPアイソザイムのCYP2C11ならびにCYP3A2のmRNAは、未成熟雌ネズミの肝臓にも発現しますが、それらの発現量は成長に伴い減少し、性成熟を迎える7週齢になると完全に消失します。ところが、雌成体ネズミの卵巣を摘出したり、エストロゲン受容体に対する特異的阻害薬であるICI182780や抗エストロゲン作用を持つ殺虫剤であるlindaneを投与すると、CYP2C11とCYP3A2のmRNAが再び発現誘導されました。このように雌成体ネズミにおけるCYP2C11とCYP3A2のmRNA発現は性成熟や雌性ホルモンの変動により大きく影響されることが示唆されました。そこで、環境の異なる地域に棲息する雌成体イエネズミを捕獲し、それら肝臓におけるCYP2C11とCYP3A2のmRNA発現を調査し、棲息環境の違いにより差異が認められるかを調べました。CYP2C11とCYP3A2 のmRNA発現は、大阪府(大阪市と堺市の市街地)で捕獲した雌成体イエネズミに高頻度に認められました。また、それらCYPアイソザイムmRNAの発現誘導が確認できたすべての個体において、CYP2C11とCYP3A2は共発現していました。ところが、北海道(帯広市農場)で捕獲した雌成体イエネズミにおいては、これら雄性誘導型CYPアイソザイムの発現誘導は全く確認できませんでした。一方、雄成体イエネズミにおけるこれら雄性誘導型CYPアイソザイムのmRNA発現量には棲息環境の違いによる差異は認められませんでした。これらの結果から、今回の調査で確認できた雌成体イエネズミ肝臓における雄性誘導型CYPアイソザイムの発現誘導は、雌成体イエネズミの雌性ホルモンを変動させる何らかの環境化学物質が関与している可能性が示唆されました。近い将来、雄性誘導型CYPアイソザイムを利用すれば食用牛などの家畜の化学物質汚染の程度を推定出来るかもしれませんね。
Ishii, T., Nishimura, K., & Nishimura, M.: Administration of xenobiotics with anti-estrogenic effects results in mRNA induction of adult male-specific cytochrome P450 (CYP) isozymes in the livers of adult female rats.
J.Pharmacol. Sci. 101: 250-255, 2006.
[特許取得] 特許5589185: 動物の汚染調査方法
骨格筋の運動神経終末部の可塑的変化
運動神経に対して少量のボツリヌス毒素A型(BoNT/A)を作用させ、骨格筋に不完全麻痺を引き起こした場合には、その麻痺から回復するために生体の適応機構が生じることが知られています。この適応機構のメカニズムを調べることは毒素に対する生体の防御機構を知る上で非常に重要であります。また、呼吸筋である横隔膜の収縮は生存に必須であり、他の骨格筋よりも適応反応が大きく現れると考えられます。そこで、横隔膜に不完全麻痺を起こす用量でマウスの腹腔内にBoNT/Aを投与し、横隔膜の運動神経と筋にどのような適応反応が生じるか調べました。その結果、遅筋線維の選択的肥大による筋収縮力の上昇と細胞外カルシウム利用能の上昇による神経伝達物質の放出能の亢進という2つの適応反応が観察されました。次に、BoNT/Aによる筋麻痺や筋萎縮の発現機構を調べる目的で、細胞内カルシウム濃度の上昇ならびに細胞内生存シグナルの活性化を惹起することが知られているウアバインを毒素と同時に投与し、BoNT/Aによる筋麻痺と麻痺からの回復に対するウアバインの効果をヒラメ筋標本と腓腹筋標本を用いて調べました。その結果、予想に反して、ウアバインがBoNT/Aによる筋萎縮の進行を促進し,骨格筋の収縮力を低下させ,毒素による筋麻痺を増悪することが分かりました。そこで、BoNT/A以外の原因による筋萎縮に対するウアバインの作用を調べる目的で,坐骨神経切除によりマウス後肢筋(ヒラメ筋と腓腹筋)に筋麻痺と筋萎縮を誘導し、これらに対するウアバインの作用を検討しました。その結果、BoNT/Aによる筋麻痺とは異なり、ウアバインは除神経による筋萎縮の進行を逆に抑制し,筋収縮力の低下を阻害することを明らかにした。ウアバインの効果がBoNT/A投与と除神経による筋麻痺で違いが生じた理由を解明するために、両者による不完全麻痺の骨格筋を用いて、細胞内タンパク質の分解を促進する酵素ユビキチンリガーゼの発現誘導と細胞内生存シグナル分子であるAktとErk1/2の活性状態を調べ、さらにこれらのシグナル分子に対するウアバインの効果について検討しました。その結果、ウアバインはAkt活性の抑制を介してユビキチンリガーゼの発現誘導を促しBoNT/Aによる筋萎縮の促進と筋麻痺を悪化させます。一方、除神経による筋麻痺では、ウアバインはErk1/2活性化を介してユビキチンリガーゼの発現誘導を逆に抑制することで除神経による筋萎縮を抑制し筋麻痺を軽減させることが分かりました。
○ Fujikawa, R., Muroi, Y., Unno, T., & Ishii, T. Ouabain exacerbates botulinum neurotoxin-induced muscle paralysis via progression of muscle atrophy in mice.
J. Toxicol. Sci. 35: 795-805, 2010.
○ Fujikawa, R., Ishii, T., Komori, S., & Nishimura, M.: Improved calcium utilization at motor nerve terminals exposed to botulium neurotoxin in mice.
J. Physiol. Sci. 58: 419-424, 2008.
----------------以下は帯広畜産大学赴任以前の主な研究テーマ-------------------
 
P型ATPaseの構造と機能
Na+/K+-ATPaseとSRCa2+-ATPaseあるいはPMCa2+-ATPase間のキメラ分子を作製しウアバインやタプシガルジンなどの阻害薬の結合ドメインやNa+、K+ならびにCa2+イオンの結合ドメイン、イオンセンサードメイン、オートインヒビトリードメインなどの種々のドメインを明らかにした。
○ Ito, K., Toyoda, I., Higashiyama, M., Uemura, D., Sato, M. H., Yoshimura, S.H.,Ishii, T., & Takeyasu, K.: Channel induction by palytoxin in yeast cells expressing Na+,K+-ATPase or its chimera with sarco/endoplasmic reticulum Ca2+-ATPase.
FEBS Lett. 543: 108-112, 2003.
Ishii, T., Yoshimura, S.H., and Takeyasu, K. : Long-term Effect of Ouabain : Transcriptional Regulation of The Na/K-ATPase α1 Subunit Gene under Ouabain Treatment.
In "Na/K-ATPase and Related ATPases", 697-700, (Ed. K. Taniguchi & S. Kaya). ELSEVIER (Excerpta Medica, ICS 1207), 2000.
○ Homareda H, Ishii T, & Takeyasu K : Binding domain of oligomycin on Na(+),K(+)-ATPase.
Eur. J. Pharmacol 400 (2-3):177-183, 2000.
○ Homareda, H., Ishii, T., and Takeyasu, K. : Effect of Oligomycin on Interaction of Na+ with Na+,K+-ATPase.
In "Na/K-ATPase and Related ATPases", 451-454, (Ed. K. Taniguchi & S. Kaya). ELSEVIER (Excerpta Medica, ICS 1207), 2000.
○ Yoshimura, S.H., Vasilets, L.A., Ishii, T., Takeyasu, K.,& Schwarz, W.: The Na+, K+-ATPase carrying the carboxy-terminal Ca2+/ calmodulin binding domain of the Ca2+ pump has 2Na+, 2K+ stoichiometry and lost charge movement in Na+/Na+ exchange.
FEBS Lett. 425: 71-74, 1998.
Ishii, T., Hata, F., Lemas, M.V., Fambrough, D.M., & Takeyasu, K. : Carboxy-terminal regions of the sarcoplasmic/endoplasmic reticulum Ca2+- and the Na+/K+-ATPases control their K+ sensitivity.
Biochemistry 36: 442-451, 1997.
○ Zhao, J., Vasilets, L.A., Gu, Q., Ishii, T., Takeyasu, K.,& Schwarz, W. : Transport\ activity of a chimeric Na+, K+-ATPase with Ca2+/calmodulin binding domain from Ca2+-ATPase in xenopus oocytes.
Ann. New York Acad. Sci., 834:372-375, 1997.
○ Yoshimura, S.H., Ishii, T., Yasuhara, J.C., Sato, M.H., & Takeyasu, K. : Ion-sensitive domains of the SERCA- and the Na+/K+-ATPases Identified by Chimeric Recombination.
Ann. New York Acad. Sci., 834:588-591, 1997.
○ Zhao, J., Vasilets, L. A., Yoahimura, S., Gu, Q., Ishii, T., Takeyasu, K., & Schwarz, W.: The Ca2+/ calmodulin binding domain of the Ca2+-ATPase linked to the Na+, K+-ATPase alters transport stoichiometry.
FEBS Lett. 408: 271-275, 1997.
Ishii, T. & Takeyasu, K. : The C-terminal 165 amino acids of the plasma membrane Ca2+-ATPase confer Ca2+/calmodulin sensitivity on the Na+, K+-ATPase α-Subunit.
EMBO J., 14: 58-67, 1995.
Ishii, T., Lemas, M.V. & Takeyasu, K. : Na+-, ouabain-, Ca2+- and thapsigargin-sensitive ATPase activity expressed in chimeras between the calcium and the sodium pump α-Subunits.
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91: 6103-6107, 1994.
○ Yu, H., Ishii, T., Peason, W. & Takeyasu, K. : Primary structure of avian H/K-ATPase β-subunit.
Biochim.Biophys.Acta, 1190:189-192, 1994.
○ Takeyasu, K., Paul, J.K., Nettikadan, S.R., Wang, S., Ishii, T., Yu, H. & Yamaguchi, M.: Imaging p-type ATPase molecules by force microscopy.
Microscopy and Analysis, 11: 25-27, 1994.
Ishii, T.& Takeyasu, K. : Ca2+/calmodulin-sensitive Na+/K+-ATPase activity expressd in chimeric molecules between the plasma membrane Ca2+-ATPase and the Na+/K+-ATPase a-Subunit.
In "The Sodium Pump" , 86-89, (Ed. E. Bamberg& W.Schoner). D. Steinkopff Verlag, 1994.
○ Takeyasu, K., Paul, J.K., Ganjeizadeh, M., Lemas, M.V., Wang, S.-S., Yu, H.-Y., Kuwahara,T., & Ishii, T.: Structure and function of ion pumps studied by atomic force microscopy and gene-transfer experiments using chimeric Na+/K+- and Ca2+-ATPase.
In "The Sodium Pump", 264-275, (Ed. E. Bamberg& W.Schoner). D.Steinkopff Verlag, 1994.
Ishii, T. & Takeyasu, K. : The amino-terminal 200 amino acids of the plasma membrane Na, K-ATPase α-subunit confer ouabain-sensitivity on the sarcoplasmic reticulum Ca2+-ATPase.
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 8881-8885, 1993.
○ Sumbilla, C., Lu, L., Lewis, D., Inesi, G., Ishii, T., Takeyasu, K., Feng, Y. & Fambrough, D.M.: Ca2+-dependent and tapsigargin-inhibited phosphorylation of Na,K-ATPase catalitic domain following chimeric recombination with Ca2+-ATPase.
J. Biol. Chem., 268: 21185-21192, 1993.
NOが興奮性細胞のCa動態とエネルギー代謝に及ぼす作用とその機構
Ishii, T., Sunami, O., Nakajima, H., Nishio, H., Takeuchi, T., & Hata, F. : Critical role of sulfenic acid formation of thiols in the inactivation of glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase by nitric oxide.
Biochem. Pharmacol. 58(1):133-143, 1999.
Ishii, T., Sunami, O., Saitoh, N., Nishio, H., Takeuchi, T., & Hata, F. : Inhibition of skeletal muscle sarcoplasmic reticulum Ca2+-ATPase by nitric oxide.
FEBS Lett. 440: 218-222, 1998.
消化管運動の調節機構:内在神経による調節と消化管平滑筋の特性
○ Takeuchi, T., Kishi, M., Hirayama, N., Yamaji, M., Ishii, T., Nishio, H., Hata, F., & Takewaki, T. : Tyrosine kinase involvement in apamin-sensitive inhibitory responses of rat distal colon.
J. Physiol. (Lond) 541(Pt 1): 177-188, 1999.
○ Takeuchi, T., Niioka, S., Yamaji, M., Okishio, Y., Ishii, T., Nishio, H., Takatuji, K., & Hata, F. : Decrease in participation of nitric oxide in nonadrenergic, noncholinergic relaxation of rat intestine with age.
Jpn. J. Pharmacol. 78: 293-302, 1998.
○ Saito,N., Fujimoto,R., Ishii,T., Nishio,H., Takeuchi,T.,& Hata,F.: Muscarinic autoinhibition and modulatory role of protein kinase C in acetylcholine release from the myenteric plexus of guinea pig ileum.
Jpn. J. Pharmacol. 74: 155-163, 1997.
○ Niioka,S., Takeuchi,T., Kishi,M., Ishii,T., Nishio,H., Takewaki,T,& Hata,F.: Nonadrenergic, noncholinergic relaxation in longitudinal muscle of rat jejunum.
Jpn. J. Pharmacol. 73: 155-161, 1997.
○ Kishi, M., Takeuchi,T., Suthamnatpong, N.,Ishii, T., Nishio, H., Hata, F. & Takewaki, T.: VIP- and PACAP- mediate nonadrenergic, noncholinergic inhibition in longitudinal muscle of rat distal colon: involvement of activation of charybdotoxin- and apamin-sensitive K+ channels.
Brit. J. Pharmacol. 119: 623-630, 1996.
○ Takeuchi, T., Kishi, M., Ishii, T., Nishio, H., & Hata , F. : Nitric oxide-mediated relaxation without concomitant change in cyclic GMP content of rat proximal colon.
Brit. J. Pharmacol., 117:, 1204-1208, 1996.
○ Fujita, A., Takeuchi, T., Ishii, T., Nishio, H., & Hata, F. : Cooperation of ATP and norepinephrine in inducing contraction in guinea pig vas deferens is not associated with change in intracellular Ca2+ level.
Jpn. J. Pharmacol. 70: 273-276, 1996.
○ Takeuchi, T., Fujita, A., Ishii, T., Nishio H. & Hata, F.: Necessity of newly synthesized ATP by creatine kinase for contraction of permeabilized longitudinal muscle preparations of rat proximal colon.
J. Pharmacol. Exp. Ther., 275: 429-434, 1995.
○ Kanada, A., Hata, F., Suthamnatpong, N., Maehara, T., Ishii, T., Takeuchi, T. & Yagasaki,O.: Key roles of nitric oxide and cyclic GMP in nonadrenergic and noncholinergic inhibition in rat ileum.
Eur. J. Pharmacol. 216: 287-292, 1992.
○ Kishi, I., Hata, F., Takeuchi, T., Ishii, T.& Yagasaki, O. : Cooperation of ATP and norepinephrine in inducing contractile responses in guinea pig vas deferens.
Jpn J. Pharmacol., 54: 253-256, 1990.
○ Hata, F.,Ishii, T., Kanada, A., Yamano, N., Kataoka, T., Takeuchi, T. & Yagasaki, O. : Essential role of nitric oxide in descending inhibition in the rat proximal colon.Biochem.
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AF64Aを用いたアルツハイマー病モデルの作出と神経科学的評価
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