変量回帰モデルでは,時間の推移に伴って遺伝的パラメータが変化すると仮定し,特定の時期についての育種価を予測することができます。 本研究室では,特に乳用牛の検定日モデルへの応用を重点的に調査し,変量回帰を用いた遺伝的パラメータの推定と育種価の予測を行っています。 また,肉用家畜の成長性質など,時系列に沿った形質全般についての応用も検討しています。
本研究室では,乳用牛をはじめ,重種馬,豚,めん羊などの家畜種について,遺伝評価のための適切な数学モデルを検討し,遺伝的パラメータの推定を行っています。 パラメータ推定法としてREMLやGibbs Sampling,遺伝価の予測にはアニマルモデルBLUP法を用いるなど,世界では標準的な分析法を応用しています。
家畜の遺伝的改良のためには,遺伝評価値を正確に予測するだけでなく,畜産経営者と改良に関連する団体へ,情報を迅速に提供することが重要です。 本研究室では,積極的な遺伝情報の利用のため,「利用者がどのような情報を欲しているのか」を調査し,使いやすい情報提供システムを構築する研究を行っています。
乳用牛について,これまでに蓄積した泌乳記録は数千万,血統情報も数百万頭にのぼります。 この大規模な記録を運用するため,本研究室ではデータベースを構築し,効率的にデータの選択・更新・追加が可能となっています。 この運用ノウハウは,[ばんえい競走馬データベースとその検索・登録システムの開発](平成17年度卒業論文)などの情報提供システムの構築に反映されています。
乳牛の成熟性と収益性の関係
乳牛においても早熟や晩熟といった成熟性の違いには泌乳能力や体型などで遺伝的な差異があることが判明してきました. そこで,成熟性の違い遺伝的に評価し,それが収益性と関連するかについて研究を行っております.
飼養形態と遺伝的能力の関連
地元,十勝には様々な飼養形態の酪農家が存在しております.共同経営のギガやメガファーム,家族経営の集約型酪農,放牧酪農・・・です.そこで,現場調査も行いながら,大きな意味での遺伝と環境の相互作用の研究を行っております.
検定日モデルの実用化
一部の酪農先進国においては,毎月1回の検定日の記録をすべて用いる検定日モデルが実用化されています。 検定日モデルでは,より正確な遺伝評価が期待できる一方,従来よりも複雑な理論と多くの分析時間が必要になります。 本研究室では,日本において検定日モデルを実用化するため,諸問題の解決に取り組んでいます。 また,従来では知り得なかった,泌乳持続性の評価を可能とするための研究を行っています。
生涯生産能力の検討
酪農経営にとって,能力の高い乳牛を長く飼い続けることが,収益向上のために重要です。 そこで近年では,初産分娩から淘汰までの産乳能力(生涯生産能力)に注目が集まっています。 生涯生産能力を高めるためには,産乳能力が高いだけでなく,体が丈夫で,酪農家に好まれ,淘汰されにくい方向に,乳牛を改良すべきです。 本研究室では,具体的に体型をどの方向に改善すべきか,また,生涯生産能力に影響を与える要因と遺伝との関連性ついて検討しています。
分娩間隔が延長する原因の究明
泌乳能力の改良が進むにつれて,次の分娩までの期間(分娩間隔)が長くなってきています。 これに関して,改良による繁殖性の低下なのか,高泌乳により搾乳の期間が延びたのか,あるいは他の要因なのかが明らかとなっていません。 本研究室では,この原因の究明に着手しています。