生物学概論99年度まとめ



地球上のすべての生命は「生命の本質=生命サイクル」を共有している。しかし、本質だけの生命は頭のなかの抽象概念であり、実在する実体ではない。実在するのは、個としてと種としての固有性(必然性と偶然性)を備えた具体的な生命サイクルである。その一つ一つは、唯一無二の実体(生命サイクル)である。本科目では、生命サイクルの具体像(固有性)を理解するための生物学入門を試みた。    

第一部「性と老化と寿命と」では、生活テンポと生命サイクルのテンポの違いを通して種個体としての生命サイクルの(種内で共有される)固有性について考察した。

    これにより、霊長類が(そして特に人間が)他の哺乳類に比べて異様に長い生理的限界寿命をもつことの謎と、生命サイクルのテンポを決める発生時計の変異(ヘテロクロニー)が、種の生態学的特性と密接に関係していることも理解された。

    更に、「時間」という言葉(頭のなかの抽象概念)で表しているものの正体(客観的実体)についても明らかになっただろう。

第二部「ひととユーグレナのあいだ」では、生命サイクルの固有性を生み出す歴史的メカニズムについて説明した。

    第一に、種の分岐年代を推定する方法について理解することを通じて、種どうしの遺伝的距離や進化的距離の現代的理解が完全からはほど遠いことを学ぶ(99年度は省略)。

    第二に、生命サイクルを遺伝的に変化させるメカニズム(細胞内共生や遺伝子重複、或いは遺伝的組み換えと突然変異)と生殖隔離のメカニズムの理解を通じて、種、属、科、目、綱、門などの分化と種内進化における自然淘汰原理が整合性をもつこと、したがって、現代生物学は生物史を理解するための論理的道具をもっていることを理解した。

    第三に、人類史(または人間の一生)は生物史のほんの一齣にすぎないのに、釈迦の掌の上で暴れ回る孫悟空(またはコップのなかの嵐)のような存在であることを理解する(99年度は省略)。

    99年度は、ボディプランの進化(生命史概観発生プログラム概観)を中心に概説した。

第三部「人間の特質と自然保護」では、群れによる他の群れの支配、虐待、殲滅という特異な歴史をもつ人間の本能的(遺伝的)欲望に内在する利己性と利他性、及びその矛盾を通して、生命サイクルの(種内で共有されるが、環境(時代や社会)依存的で遺伝依存的な)固有性について考察した。



(since 02/14/99)