| 生物リズム学概論
A概日リズムと生命サイクル
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準備中 とりあえず、下記の英語要約を参照して下さい。
また、98年度学会講演要旨もご覧下さい。
講義レジュメ 概日リズムによる細胞分裂タイミングの制御
細胞周期 cell cycle も概日リズムもどちらも、周期現象の駆動力が細胞自身にあるという点で、生物リズムと呼ぶことができます。非性的単細胞生物にとって、細胞周期 cell cycle は生命そのもの(或いは細胞そのもの)であり、生命の骨格リズムなのだ、という点については何度も述べてきました。これに対し、概日リズムは生命が24時間周期で変転する地球環境(生物的環境も含むことに注意)に適応するための、環境適応リズムです。
本稿では、この論争をまとめるとともに、概日リズムがどのようなメカニズムによって細胞周期 cell cycle のタイミングを制御しているのか、について現在明らかになっていることを説明します。 概日リズムによる細胞分裂タイミングの制御 まず、最大の誤解を解いておかなければなりません。すなわち、概日リズムは、現象論的に定義されている、という点です。言い換えると、分子メカニズムがどうあれ、細胞分裂のタイミングが先述の三つの試金石を満たすならば、それは概日リズムによって制御された現象なのだ、と結論できるという点です。
つまり、この問題を巡っては少なくとも二つの問題があるのです。
(2)もし、概日リズムであるならば、細胞周期のメカニズムと概日リズムのメカニズムはどのように関係しているのか この証拠を提出することは簡単です。先述の三つの試金石をチェックすれば良いだけだからです。 既述のように、この証拠が初めて報告されたのは約40年前のことです(Sweeney, B.M & Hastings (1958) J. Protozool. 5, 217-224.)。赤潮の構成藻の一つ、海産の渦鞭毛藻 Gonyaulax polyedra (以下、ゴニアウラックス)を用いた研究です。その後、様々な生物を用いて細胞分裂タイミングの概日リズム性が調べられてきましたが、特に念入りに研究されたのは鞭毛藻の Euglena gracilis (以下、ユーグレナ)です。 これに対し、緑藻 Chlamydomonas reinhardtii (以下、クラミドモナス)の細胞分裂タイミングの場合には、つい最近まで概日リズムの制御を否定する見解が有力でした。PCL John を中心とする研究者たちは、様々な実験をおこなうことにより、ある場合には細胞分裂のタイミングのリズムが約一日から大きくずれることや、またある場合にはタイミングがリズミカルに変動しなくなること、またある場合には他の生物の概日リズムの位相を変異させることで知られる薬剤がクラミドモナスの細胞分裂タイミングには影響しないことなどを理由に、概日リズムの制御性を否定する「証拠」を出し続けてきたのです。 しかし、何度も述べるように、概日リズムであるかどうかは三つの試金石を満たすかどうかです。メカニズムは全く不問なのです。また、概日リズムがある条件では消失するという事実は、他の条件では細胞分裂タイミングが概日リズムとなる、ということを否定するものではありません。その他、更に細かいこともあるのですが、クラミドモナスにおける細胞分裂タイミングが概日リズムであることを立証したのは Goto, K. and Johnson, C.H. (1995) J. Cell Biol. 129, 1061-1069. です(Medlineによるabstract)。 (2)細胞分裂タイミングの概日制御:関門現象 次は、細胞周期時計と概日リズム(概日時計)の関係です。二つの考え方があります。一つは、細胞周期時計と概日リズムとは独立のメカニズムであるとする立場です。この場合、ある条件の下では、概日リズムが細胞周期時計の位相進行(例えば、細胞分裂のタイミング)を制御すると考えます。もう一つは、両メカニズムはリズム発振機構を共有していると考えます。 後者の立場の仮説で最も合理的なものは SW Chisholm を中心とする人たちの研究です(Vaulot,
D. & Chisholm, S.W.(1987) J. Plankton Res. 9:345-366)。概日リズムの定義に関する彼女たちの誤解を別にすれば、その主張の要点は、細胞分裂タイミングの「約24時間周期リズム」は、細胞集団の平均的世代時間で説明できる、ということです。
彼女たちの仮説を更に否定するもう一つの論拠を挙げておきます。くどいですが。すなわち、彼女たちの仮説に随えば、培養の経過につれて、階段の平坦部がだんだん緩やかな坂になっていくはずです。細胞周期長の細胞間ばらつきのため。ところが、細胞分裂タイミングの概日リズムを示す増殖曲線は、いつまでも綺麗な平坦部を保つのが普通です。 この言葉は、多分、CS Pittendrigh がショウジョウバエの羽化が、主観的夜明け前後ににも限定される現象を指すのに用いたものでしょう。その弟子、LN Edmunds, Jr. が1960年代の後半から、ユーグレナの細胞分裂が主観的夜に限定される現象を指すのに好んで用いることになったのだと思います。 さて、前述のように、細胞分裂タイミングの概日リズムにおいては、通常ステップサイズは2未満です。このことの意味を少し考えてみましょう。多くの真核単細胞生物の場合、細胞質分裂 cytokinesis が起こるのは主観的夜のみです。主観的昼には細胞質が分裂しないので細胞の数は増えません。この細胞数一定の平坦期(主観的昼)に引き続き、主観的夜が訪れて細胞の数が増えます。 このとき、平坦期(主観的昼)にあった細胞のすべてが主観的夜に細胞質分裂するわけではありません(ステップサイズは2未満)。では、この主観的夜に分裂できなかった細胞はいつ分裂するのでしょうか?次の主観的夜か、次の次の主観的夜です。 では、何故、引き続く主観的昼には分裂できないでしょうか?最も自然なのは、主観的昼には分裂を抑制されている、と考えることでしょう。細胞周期長が「量子化」されていると考えることもできますが、概日リズムの制御が効いていない場合には細胞周期長が連続的に分布するとの証拠があります。
したがって、細胞周期長の「量子化」が起こっていたとしても、それは、概日リズムによる制御に由来するのです。 後でもっと決定的な証拠について述べます。
同調培養について
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