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生命とは何か? 概観
97年度生物学概論第1講 10/6/97 (97年度導入科目「生物物理学」(後半)のまとめ)より
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生命とは何か?
生命が単なる物質の集合以上のものである、とはどういうことか?生命は物質の集合から成り立つが、その集合の形式は生命に固有である。すなわち、生命は生命サイクル(生活史)という一つの過程(時空的連続)としてのみ存在し、活動している:生命は生命サイクルである。
生命サイクルの位相
生命サイクルの一位相(生命の瞬間、例えば受精の瞬間とか思春期が発動する瞬間とか、今単に呼吸している瞬間とか)は、その一瞬前の位相によってつくられ次の一瞬後の位相をつくることによって、全体としての生命サイクルに統合されている。この過程は、生理・形態の不可逆的で連続的な変化の持続である。
生命とは遺伝的プログラムの実現としての生命サイクルである
生命サイクルは遺伝的プログラムの実現過程であり、必ず自己複製という結果(次の生命サイクルの開始)に終わる。つまり目的律的過程である。生命サイクルの繰り返しのリズムのなかで遺伝的組成は変化し、多様な種に枝分かれしながら地球生態系が形成されてきた。どれも、約40億年前に誕生した一個の生命サイクルの末裔である。
自然淘汰は生命サイクルの実現を最適化するようなメカニズムを進化させる
このメカニズムは、形態、生理、発生、行動、生態、、、などさまざまであるが、その総体が生命サイクル(=生命=生物)そのものなのである。このようなメカニズムに欠陥のある生命サイクルは、生物史のなかで自然淘汰的に抹消されるために、よりよいメカニズムが進化してきた。こうして、生命サイクルは姿かたちを変えながらも、途絶えることのない歴史を刻んできている。
喜怒哀楽と知性
生命サイクルの目的を実現するためのメカニズムの一つが哺乳類の喜怒哀楽の感情と、天敵から防衛し、餌を探索し、群れの秩序を保つために発達してきた知性である。人間の感性と知性は、その特殊な一形態である。哺乳類として人間は、生命サイクルの目的実現に有利なことがらに快楽と喜びを感じ、不利なことがらに悲しみ、怒り、不快を感ずる。この関係が逆転した場合を想定すれば、この関係がいかに生命サイクルの目的に適ったことであるかがわかるだろう。
人間はその人生目的を知性の力で設定し、「生き甲斐」を求める。それは、知的な設定には違いないが、意識の奥底で、無自覚的な自己維持本能と自己増殖本能が働いているはずであり、それが健全な姿である。このことは、そもそも、何故生き甲斐を求めるのか、という発問をすれば納得される。