センター概要

 近年、腸管出血性大腸菌01 57 や烏インフルエンザをはじめとする新興・再興感染症,人獣共通感染症、大規模食中毒,食品偽装など「食」の安心と安全を脅かす深刻な問題が次々に発生しています。このような食の安全性を巡る危機的状況は、今日の獣医学教育・研究の動向に少なからぬ影響を与えており,本学においても,これらの問題の解決のために地域的特性や専門性に依拠した新たな検査診断の実施、並びに教育の拠点形成のために平成26年に動物・食品検査診断センターを立ち上げました。

 本センターは我が国初となる獣医大学の動物・食品検査診断センターであり、ISO/IEC17025認定を今春取得し、正確な測定/校正結果を生み出す能力において厳しい審査基準に適合し認定を受けた試験機関です。その設置目的は “農場から食卓まで" の食の安全性を確保するために,家畜や食品の検査診断を行い動物衛生と食品衛生に寄与することで社会に貢献することです。即ち,本センターは畜産物の生産から流通・消費に至る過程で発生する,または発生が予想される種々の問題に対処し,食の安全性確保に資する検査診断と当該分野の教育の拠点です。教育では特に高度専門職業人育成に貢献します。検査診断では、様々な動物感染症に対する検査や食品検査を中心に行い,更に教育では学部教育・大学院教育・卒後教育・社会人教育を行います。

 本センターは、1)食品有害微生物分野、2)毒性解析分野、3)真菌検査分野、4)検査精度管理研究分野の4つの検査診断分野で構成されています。

検査精度管理研究分野

 食のボーダレス時代を迎えて、国際的通用性を持つ農畜水産物や食品の検査結果を提出可能な検査センターの社会的ニーズが増大しています。本センターは大学組織として国内で初めて生物・食品系検査のISO/IEC17025:2005認定*を取得した機関です。本分野では、国際規格により認められた試験能力を強化して、国内農畜産業の国際競争力強化に貢献すると共に、検査精度管理法の応用により研究活動で創出されるデータの信頼性確保スキーム構築の研究を行っています。
* ISO/IEC17025:2005は”試験所認定”と呼ばれ、試験所が正確な測定結果を生み出す能力があるかどうかを、権威ある第三者認定機関が認定する規格です。

食品有害微生物分野

 急激な人口増加や国境を越えた食料の流通により、食の安全性確保は国際的に重要な課題となっています。サルモネラ、腸管出血性大腸菌、カンピロバクター、リステリアなど様々な感染症は動物や畜産物を介して人々の健康を脅かしています。また、近年、欧米での健康志向の高まりや人口増加により、水産物の需要は年々増加しています。この需要を支える水産養殖業では、様々な細菌性魚病が発生し、経済的損失を招いています。本分野は、人獣共通感染症、食品由来感染症、および魚病の発症メカニズムの解明、診断・治療・予防法の開発の研究を行い、食の安全確保に貢献します。

真菌検査分野

 真菌は家畜、ペット、そして人の真菌感染症の原因菌として広く認識されています。また、真菌や真菌が産生するカビ毒は食品汚染や食中毒の原因となり、食品衛生上大きな問題の一つです。本分野では真菌感染の詳細なメカニズムの解明や真菌のカビ毒産生機構解明、人や動物に対する毒性の評価・研究などを通じて、動物衛生や畜産・食品の安全性の向上、真菌症の診断・治療法の開発などの医療の発展に貢献します。

毒性解析分野

 農薬や動物用医薬品などの化学物質に農作物や家畜が過度に暴露された場合,それらの生産性や健康状態の低下が危惧されるばかりではなく,直接または農作物をとおして間接的に家畜に濃縮・蓄積した化学物質が畜産食品を介して人に多大な健康被害を及ぼします。本分野では,食の安全を脅かす化学物質の毒性評価や毒性発現機構についての研究をとおして,動物衛生や畜産食品の安全性確保に貢献します。