第157回日本獣医学会学術集会(2014年9月9日から9月12日開催)において、原虫病研究センターの林田京子特任研究員および杉達紀JSPS特別研究員が「獣医学奨励賞」を 受賞

 原虫病研究センターの林田京子特任研究員および杉達紀JSPS特別研究員が、9月9日—9月12日に開催された第157回日本獣医学会学術集会において獣医学奨励賞を授与されました。本奨励賞は獣医学の進歩に寄与する優れた研究を行い、将来の発展が期待される若手研究者に授与されるもので、今回4名のうちの2名が本センターから選出されました。

【受賞研究課題】
 林田京子特任研究員
  「タイレリア原虫の比較ゲノム解析と病原性進化に関する研究」
 杉達紀JSPS特別研究員
  「トキソプラズマの潜伏感染および急性感染を制御するシグナル経路の解析」

 林田京子特任研究員が研究したタイレリア原虫は、マダニによって媒介され、ウシが感染すると重篤な白血病様の症状や貧血を引き起こすため、世界中の畜産物生産に大きな打撃を与えています。林田さんは日本を含む東アジアで問題となっている、タイレリア・オリエンタリス原虫(Theileria orientalis)の全ゲノムを解読し、より病原性の高い海外悪性タイレリア種(Theileria parva/annulata)と比較することにより、これらタイレリアのもつ病原性因子、特に悪性タイレリア感染が引き起こす細胞腫瘍化の機序について解析を行いました。今回受賞した研究成果により、タイレリア治療薬やワクチン開発に繋がる原虫分子が見つかる事が期待されます。  林田さんは、「この度の受賞を大変光栄に思います。これまで地道に研究を行ってきた努力が評価され、この上ない励みとなります。今後も原虫症の研究を通して、微力ながら獣医畜産界の発展に貢献すべく努力して参りたいと思います。」と受賞の喜びを語りました。

 杉達紀JSPS特別研究員が研究を行ったトキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)が引き起こす疾患は、ヒトの胎児における先天性トキソプラズマ症や家畜の流産として問題となっています。幅広い家畜や伴侶動物の猫が感染することでヒトへの感染源となることから、獣医公衆衛生学上の問題でもあります。杉さんはトキソプラズマ原虫が食肉からの感染源となる感染様式である潜伏感染の状態を示す原虫株と示さない原虫株の全ゲノムを解読し、潜伏感染に関わる原因遺伝子の同定とその仕組みを明らかにしました。今回受賞した研究成果により、トキソプラズマ症の対策につながる分子機構の解明や、潜伏感染を阻止するトキソプラズマ治療薬などの開発、またトキソプラズマ原虫という寄生虫の特異な生存戦略の理解につながることが期待されます。  杉さんは、「この度の受賞は大変光栄であり、この上ない励みとなります。今回の研究は博士課程での研究が主なものであり、ご指導いただいた先生方に深く感謝いたします。今後も寄生病原体の研究を通して、獣医畜産界に貢献することを目指し努力したいと思います。」と受賞の喜びを語りました。



  表彰される林田京子特任研究員


  表彰される杉達紀JSPS特別研究員