論文発表

2017.02.06
トキソプラズマに対する免疫応答がうつ様症状の発症を誘導することを明らかにしました。

平成29年1月:論文発表 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28138019
細胞内寄生原虫のトキソプラズマの感染は、ヒトにおける精神疾患の発症に関与することが考えられています。 我々の研究室では、トキソプラズマ感染がうつ様症状の発症を引き起こすことをマウス実験モデルで明らかにしています (Mahmoud et al., Behav Brain Res. 2016)
今回の研究では、 トキソプラズマに対する免疫応答がうつ様症状の発症を誘導することを明らかにしました。 トキソプラズマに対する防御免疫反応には、炎症性サイトカインのインターフェロン・ガンマ(IFN-γ)が必要です。 トキソプラズマ感染により、IFN-γが細胞に作用することでインドールアミン酸素添加酵素(Indoleamine 2,3-dioxygenase: IDO)が活性化され、 トリプトファンの代謝が亢進してキヌレニンが産生されることを確認しました。 キヌレニンはうつ病をはじめ様々な精神疾患全般の原因として考えられています。 トキソプラズマ感染は上記の経路を誘導し、宿主動物にうつ様症状が発症すると示唆されました。 さらに、このうつ様症状は抗炎症剤やIDO阻害薬で抑えることができました。 宿主免疫応答は病原体の排除に重要ですが、その副反応の一つとして精神疾患の発症に関与することに注意しなければならないと考えられます。
本論文発表は、最先端・次世代研究開発支援プログラム(日本学術振興会:2011/LS003)、挑戦的萌芽研究(文部科学省:15K15118)の研究成果です。

Mahmoud ME, Fereig R, Nishikawa Y*. Involvement of host defense mechanisms against Toxoplasma gondii infection in anhedonic and despair-like behaviors in mice. Infect Immun. 2017 Jan 30. PMID: 28138019. *Corresponding author

原虫病研究センター 准教授 西川 義文 (西川研HP)
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2016.08.08
トキソプラズマ感染による宿主動物の行動変化のしくみを解明

原虫病研究センター 准教授 西川 義文 (西川研HP)、日本学術振興会特別研究員(DC1) 猪原 史成らの研究グループは、病原性寄生虫トキソプラズマの感染により宿主動物の記憶に障害が生じることを明らかにしました。
≫プレス発表 (新聞記事:十勝毎日新聞20160828)

Toxoplasma gondii Infection in Mice Impairs Long-Term Fear Memory Consolidation Through Dysfunction of the Cortex and Amygdala.

Ihara F, Nishimura M, Muroi Y, Mahmoud ME, Yokoyama N, Nagamune K, Nishikawa Y. Toxoplasma gondii Infection in Mice Impairs Long-Term Fear Memory Consolidation Through Dysfunction of the Cortex and Amygdala. Infect Immun. 2016 Jul 25. pii: IAI.00217-16. [Epub ahead of print] PubMed PMID: 27456832.

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2016.05.12
原虫病研究センター・国際連携協力部門・国際監視学分野・菅沼啓輔特任助教らが研究成果を発表しました。

家畜トリパノソーマ症の治療薬は種類が限られるとともに、薬剤抵抗性のトリパノソーマ症が各国で報告されているため、新規治療薬の開発が求められています。本研究では、核酸合成酵素の一種であるInosine Monophosphate Dehydrogenase(IMPDH)阻害薬であるミコフェノール酸とその誘導体の抗トリパノソーマ活性を検討しました。その結果、薬剤標的酵素であるTrypanosoma congolense IMPDHが同定されました。さらに、試験管内抗トリパノソーマ活性評価系を用いた試験から、ミコフェノール酸とその誘導体が新規トリパノソーマ治療薬のリード化合物になりうること示唆されました。

Mycophenolic Acid and Its Derivatives as Potential Chemotherapeutic Agents Targeting Inosine Monophosphate Dehydrogenase in Trypanosoma congolense

Keisuke Suganuma, Albertus Eka Yudistira Sarwono, Shinya Mitsuhashi, Marcin Jąkalski, Tadashi Okada, Molefe Nthatisi, Junya Yamagishi, Makoto Ubukata, and Noboru Inoue. Antimicrobial Agents and Chemotherapy. 2016, May 2 online, doi:10.1128/AAC.02816-15. PubMed PMID: 27139487.


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2016.03.15
原虫病研究センター・感染免疫部門・生体防御学分野・西川義文研究室が研究成果を発表しました。

ネオスポラはイヌやウシなどに感染し神経障害の原因となる病原性原虫ですが、その病態発症メカニズムは分かっていません。今回、ネオスポラのマウス感染モデルを用い、感染による脳組織の変化を解析しました。その結果、炎症反応に伴う脳病変、神経伝達物質量の異常、神経細胞の活性低下が明らかとなりました。本研究により、ネオスポラの感染による中枢神経の機能障害が生じていることが示唆されました。本論文発表は、最先端・次世代研究開発支援プログラム(日本学術振興会:2011/LS003)、挑戦的萌芽研究(文部科学省:15K15118)、特別研究員奨励費(日本学術振興会:15J03171)の研究成果です。

Changes in neurotransmitter levels and expression of immediate early genes in brain of mice infected with Neospora caninum.

Ihara F, Nishimura M, Muroi Y, Furuoka H, Yokoyama N, Nishikawa Y. Changes in neurotransmitter levels and expression of immediate early genes in brain of mice infected with Neospora caninum. Sci Rep. 2016 Mar 14;6:23052. doi: 10.1038/srep23052. PubMed PMID: 26971577.

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2016.03.10
原虫病研究センター・診断治療研究部門・高度診断学分野・五十嵐郁男研究室が研究成果を発表しました。

バベシアとタイレリアは赤血球に寄生し、家畜に大きな経済的被害を与えているため、安全で治療効果の高い薬剤の開発が求められています。本研究では、ハンセン病の治療薬であるクロファジミンの両原虫感染に対する治療効果について検討を行いました。その結果、クロファジミンは培養原虫に対して優れた増殖抑制効果を示しました。更に、マウスを用いた治療実験により、高い治療効果が認められました。今後の研究により、家畜のピロプラズマ病の新たな治療薬として実用化される事が期待されます。

Clofazimine inhibits the growth of Babesia and Theileria parasites in vitro and in vivo.

Tuvshintulga Bumduuren, AbouLaila Mahmoud, Davaasuren Batdorj, Ishiyama Aki, Sivakumar Thillaiampalam, Yokoyama Naoaki, Iwatsuki Masato, Otoguro Kazuhiko, Ōmura Satoshi and Igarashi Ikuo., Antimicrobial Agents and Chemotherapy.2016 Feb 16. pii: AAC.01614-15. [Epub ahead of print]


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