開講科目 学部

社会倫理学(後期開講)

授業概要

 倫理学的な問題は、「哲学」で一般的な形で扱っているが、本講では、特殊な応用的倫理的な問題を扱う。いずれも、現代社会において焦眉のテーマに関わる倫理問題である。この授業を通じて、学生が自らの生き方・他者との多面的な関わり方を振り返るきっかけになるよう期待する。
 いま医療技術の進展はめざましい。そのため従来なら考えられなかった多様な倫理的諸問題が、医療分野において生じている。また現在、急速な科学技術の発展を通じて、私たちの行為の影響は遠隔(時間的および空間的な)の他者にまで及んでいる。言い換えれば私たち自身が、広範な他者にとって顕著な環境になっている。もはやこれらと無関係に生きることはできない。それ故医の倫理ならびに環境倫理を、本講において第1に扱いたい。(ただし環境倫理は時間配分の結果、扱えない場合がある。)
 私たちは人間である。人間として動物と特別な関わりを有する。中でも動物の家畜化を通じて動物および人間にもたらされるる問題は多様だが、本講の第2としてそれらのいくつかを扱いたい。
 また私たちはふつう男性もしくは女性として生きるが、その点を考慮した際、独特な倫理的問題(性倫理)に直面する。同時に、大学に集う私たちはふつう青・壮年期を生きるが、同時に幼い子ども・高齢者との接触なしに生きることはできず、そこでもおのずから固有の倫理問題に直面する。それ故、本講では第3に、異性間・異世代間に生じうる倫理問題を扱うことにしたい。

授業計画
  1. 医の倫理(1) 安楽死について
  2. 医の倫理(2) 脳死と臓器移植について
  3. 医の倫理(3) 生殖医療・代理出産について
  4. 動物の倫理(1) 動物を食べること・牛肉文明の結末
  5. 動物の倫理(2) 動物園・工場的畜産
  6. 動物の倫理(3) 動物実験
  7. 異性間倫理(1) セクシュアル・ハラスメントと性暴力
  8. 異性間倫理(2) アダルトビデオとセックス神話
  9. 異世代間倫理(1) 近代市民社会と子どもの「誕生」
  10. 異世代間倫理(2) 老人の身体、その生と性
  11. 異世代間倫理(3) 「買物難民」と高齢者
キーワード

医療技術の発展、安楽死処置(尊厳死・厭苦死)、生殖医療、臓器移植、脳死と心臓死、牛肉文明、タンパク質の階梯、転換効率、動物園、工業的・工場的畜産、動物実験、セクシュアリティ、セクシャル・ハラスメント、ポルノグラフィ、アダルト・ビデオ、セックス神話、市民社会と子どもの「誕生」、子どもの独自な精神世界、戦後社会と若者の疎外、教育基本法と子どもの教育権、アイデンティティ、高齢者の身体、高齢者の生と性、買物難民、高齢社会と年金制度、老年人口指数と従属人口指数

参考図書

杉田の各種著書。異性間倫理については『レイプの政治学』、『AV神話―アダルトビデオをまねてはいけない』、『逃げられない性犯罪被害者』、異世代間倫理(買物難民問題)については『買物難民―もうひとつの高齢者問題』、『「買い物難民』をなくせ!』等。詳細は授業の際に紹介する。