プロフィール・研究業績

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研究課題

最近の研究課題は,以下のようなものです:

参考:研究開発支援総合ディレクトリ(ReaD)の研究者紹介

具体的には,何を研究しているのか?

特に代表的な3つのテーマについて,簡単に説明します。

1. ゲノミック選抜:ゲノム情報を利用した育種改良

ヒトゲノムプロジェクトが完了して以降,家畜や家禽においても同様のプロジェクトが立ち上がり,ゲノム解読を完了した種もあります。代表的な家畜であるウシも,全塩基配列が解明されました。

塩基配列を解読したと聞くと,生物の仕組みがすべて解明されたかのようですが,実際にはそうではありません。意外に思うかもしれませんが,その配列を眺めても「どの部分が重要な遺伝子なのか」「それがどんな働きをするのか」までは分かりません。研究者の努力によって遺伝子の特定が進んできています。しかし,その数はまだまだ少なく,未知な部分が圧倒的に多いといえます。これは,家畜についても同様です。ですから「DNAを調査して優良遺伝子をもつ個体を選抜する」ことは,(一部の遺伝性疾患を除いて)現時点では不可能といえます。

ゲノム解読の過程で,DNA配列の個体差(多型)が数多く存在することがわかりました。ある種の多型はSNPと呼ばれ,ゲノム全体にわたって頻繁に出現することが分かっています。ほとんどのSNPは,遺伝子とは無関係です。ところが,SNPの中には,特定の遺伝子と強く連動するものが存在する可能性が出てきました。極端に言えば,SNP部分を調べるだけで,遺伝能力の高低を推測できる可能性があるのです。

ゲノミック選抜とは,この原理に基づき,数万個のSNPを調査して遺伝能力を推測しようとする手法です。もちろん,遺伝子を調査する訳ではないので,推測ミスや失敗も起きます。私の研究上の興味は:

です。 これらは,実データ(DNA解析結果・SNPデータ)がなくても,理論的に検討できます。 コンピュータで仮想的な状況を作り出し,シミュレーションによって検証を行います。 最近では,日本で収集された実在するホルスタインのゲノム情報と,表現型の集約値を結びつけ,ゲノミック選抜の実用化に関する研究を行っています。

なお,ゲノミック選抜(genomic selection)は,ゲノミック評価,ジェノミック選抜,ゲノム選抜,ゲノムワイド選抜などとも呼ばれます。新しい概念なので,統一された訳語は無いようです。

2. 乳用牛の繁殖性と耐病性に関する遺伝分析

乳用牛の仕事は,乳を生産することです。乳を生産するには,まず育成を経て分娩する必要があります。乳牛は,分娩後1年以上も泌乳を続け,生涯に何回も分娩します。ウシが生産を終えるのは,疾病や事故などによる淘汰,あるいは(老齢を理由とした)更新牛との入れ替えのための淘汰が起きたときです。 後者の淘汰はやむを得ませんが,前者の淘汰はアクシデントであり,経済的損失をもたらします。

1頭の牛から得られる利益を最大にするには,繁殖性,耐病性,耐久性を改善する必要があります。そのため,日本では,乳用牛の改良目標に「長命連産性の改善」を掲げています。単に乳量を得るだけでなく,乳以外の「機能的形質」の改善に重心が移っています。私の興味は,それら形質の遺伝的改良に関するものです:

諸外国の知見では,これらの形質について遺伝子の寄与はかなり小さいことが分かっています。 したがって改良効率はよくありませんが,長期的な戦略として,根気よく改良を続けるべきだと考えています。

3. 変量回帰モデルの応用:成長と成熟の遺伝分析

家畜の経済形質は,個体の成長と深く関係しています。たとえば肉牛であれば,肉量は成長に伴って増えますし,乳牛も加齢に伴って乳量が増えます。

同じ形質であっても,若齢時に働く遺伝子と,成熟時に働く遺伝子は全く同一ではないでしょう。どちらの遺伝子の発現が顕著かどうかは,最終的に早熟・晩熟として観察できます。「時間の変化に伴って遺伝的寄与がどのように変化するか」を扱うことは,やや難しい問題です。統計遺伝学において,この種の問題は変量回帰(random regression)モデルを当てはめることで,一定の解決をみました。

変量回帰モデルによる分析は,理論的には優れていますが,応用上の問題を抱えてきました。その障害の多くは解決されてきましたが,まだ問題が残っています。また,変量回帰モデルが適しているのに,まだ応用できていない形質も数多くあります。私の研究上の興味は,特に乳牛について:

です。 これらは,牛群検定によって集積された約1億件のデータに対し,統計遺伝学的分析を応用することによって検討を加えています。

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